新潟農業とイノベーション・ジレンマ‐大変革か衰退かの岐路に立つ‐

2、新潟は階層分解が遅い

◇規模拡大のスピードは速い(全国)
 全国的に、農家の規模拡大が急速に進展している。世界農林業センサスによると、2010年現在、都府県だけでも、100ha以上の農業経営体が313もある。5年前は159であるから、わずか5年で倍増である。大方の予想を超えるスピードだ。
 
 この5年で大きく増えた階層は、30~40ha2.4倍、40~50ha2.5倍、50~100ha2.5倍である。逆に、小零細規模の3ha未満層はマイナス20%、5ha未満もマイナスである。これは2010年までの5年間の変化である。(拙著『新世代の農業挑戦‐優良経営事例に学ぶ‐』全国農業会議所刊、第7章参照)。
 
 “規模拡大”という点だけでいうと、永年の農政の課題は達成される勢いである。現在の安倍内閣の農政、「減反廃止」や「農地集積バンク」が実施される前に起きている現象である。農政改革の効果ではなく、農家の後継者不足等の社会変動の効果である。
 
 農業は作物によって違うが、規模の利益が大きい。特に、土地利用型の稲作は規模の利益が大きい。家族経営による20ha限界説があるが、技術体系が変わることによって、規模の利益を享受できる上限ははるかに大きい。米価下落に見るように、市場原理の浸透により、農産物価格は低下トレンドにある。規模拡大によるコストダウンは農業経営者にとって追求すべき課題であるが、ようやく規模拡大の動きが加速してきた。

◇新潟の階層分解は遅い(都道府県別)
 しかし、地域別に見ると、日本一の米の主産地・新潟県は階層分解が遅い。表4に見るように、100ha以上の経営体数は、新潟は8戸に過ぎずない。岩手42、山形32、青森29、宮城25に比べ少ない。50ha以上で見ても、岩手167、宮城127、山形94、青森91、秋田73に対し、新潟は69である(農家総数は新潟の方が多いにもかかわらずである)。富山は農家総数は新潟の3分の1以下であるにも拘らず、50ha以上が77もある。新潟県は、農家の規模拡大の動きが東北・北陸の中では鈍いと言えよう。

★表4 経営耕地規模別の経営体数
 
 表5は、経営耕地規模別の面積を見たものである。全耕地に占める30ha以上規模の経営体への農地集積は、岩手21%、富山24%、山形14%、宮城14%、青森13%、秋田10%に対し、新潟は7.7%である。都府県平均は9.1%であるから、新潟はそれよりも低い。新潟は全国平均に比べても、農地集積の動きが鈍い。大規模農場への農地集積の動きは、新潟は比較的緩慢である。農家の階層分解が遅いと言えよう。

★表5 経営耕地規模別の面積

◇新潟は中堅層の割合が多い
 新潟は中規模層が比較的多い。表5に示すように、2~10ha層への耕地集積は51%である。逆に、2ha未満の小零細規模は29%で都府県平均の43%より少ない。また、30ha以上の大規模層も7.7%と、都府県平均より少ない。つまり、新潟は小零細規模も少ないが、大規模も少ない。特化係数でいえば、2~10ha層137、2ha未満層68、30ha以上層85である。新潟は中堅層(特に3~10ha層)への耕地集積が進んでいる。
 
 大規模層への耕地集積が大きく進展しているのは、岩手(30ha以上層の特化係数229)、富山(同260)、山形(同155)、宮城(同154)、青森(同144)である。次いで、秋田は10~30ha層、石川は20~30ha層の特化係数が高い。
 

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