「卓球ロボットのオムロン~企業価値向上の手本」

・山田社長は、まず粗利益率を最も重視した。原価率に注目してしまうと生産部門のコスト低減に目がいってしまう。一方で、営業部門が仕事をとるために、値引きやリベートの提供を行うと、生産部門の努力がすぐに吹き飛んでしまう。生産と販売というタテの経営の結びつきを強化し、双方が一緒になって収益性を高めるには、原価率ではなく、粗利益率を重視することにした。しかも、この粗利益率が年々徐々に改善するようにした。突然ダイエットして無理をしても、それが一過性で定着しなければ、すぐにリバウンドしてしまうからである。

・生産・販売というタテの連結と共に、IT部門など本社機能も含むヨコとの連結にも力を入れた。制御機器事業では、①付加価値率の向上、②売上高の拡大をROIC改善のドライバーとした。昨年度はさほど効果を出さなかったが、今期になって貢献度を高めている。また、電子部品事業では、設備の回転率の向上をドライバーとした。生産設備のコンパクトが鍵である。実際、ある設備面積は2010年の120㎡が2012年に44㎡へ、2013年には25㎡へと、当初の5分の1となった。このように、事業特性に合わせて、現場のKPIを設定し、ROICを高めている。

・もう1つのポートフォリオマネジメントでは、個々の事業の成否を見極めつつ、手を打っている。当社の6事業は、100近い事業ユニットから成り立つ。すべての事業を、横軸にROIC、縦軸に売上成長率をとって、それを4つの象限に分けて事業の将来をみていく。①積極的に投資をして伸ばす事業、②成長性を高めるべき事業、③収益性が十分でない事業、④構造改革が必要な事業、に分けて検討している。その中で、環境事業として大きく伸びている事業も出てくる。一方で、事業の整理も行っており、メリハリを利かせている。M&Aやアライアンスも自社の強みを強化する目的で実行している。

・目標として2016年度に売上高粗利率40%、ROIC13% 以上、EPS290円以上を挙げているが、この数値は1年前倒しで達成できそうである。株主還元については、成長投資を優先しつつ、配当性向30%をベースに、自社株買いの方針も明確に出して実行している。

・当社は、この1月に東証の企業価値向上表彰(2014年度)で大賞を受賞した。特に優れている点として、①ROIC、ROEを明確な目標にして、資本コストを上回る水準に設定し、投資家の視点を重視して対話を深めている。②100近い事業ユニットに収益性を表す指標を入れて、事業の選択と集中をポートフォリオマネジメントとして実践している。③ROICを現場の指標に落とし込んで、PDCAサイクルを回す逆ツリー展開を実践している。④こうしたROIC経営が成果として現れ、企業価値向上に結びついていることが評価された。この方式は、多くの上場会社の手本となりうる。オムロンをベンチマークにして、‘やればできる’という意気込みの波及効果をぜひとも期待したい。

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