通貨ペグとキャリートレード

では、スイス国立銀行はなぜ、対ユーロ・スイス上限1.20を撤廃したのか? いくつかの推測が可能だ。

1、ますます不透明になっていくユーロとの連動を避けた。

ユーロ圏のデフレ、ECBとギリシャ、イタリア、スペインなど周辺国との対立、ECBとドイツ連銀との対立、ユーロ圏とロシアとの対立などで、このままユーロ・ドルが下落し続けると、安いユーロに連動して、スイスフランも安くなり続ける恐れがある。

2、ECBの量的緩和に先行した。

事前にデンマークやフランスが知っていたように、スイスもECBの量的緩和を知っていた。もし連動を外していなければ、スイスもデンマークのような追加緩和や、市場介入を強いられる可能性があった。

3、その必要がなくなった。

2012年後半以降、それほど大規模な市場介入を行わなくても、1.20が維持できていた。ユーロと実質連動するような不自然なことを続けなくても、それほどスイス高にならないのなら、無理な政策は撤廃するに限る。

4、スイスキャリーの大きさを恐れた。

大規模な介入なしで2年半も1.20を維持できた一番大きな理由を、スイスフラン売り外貨買いのキャリートレードのためだと当局が見抜いていた。

つまり、どんなにスイスを売っても、1.20以上にはフラン高になる懸念がなかったために、スイスキャリーのポジションが膨らんでいた。このままでは1992年のポンド危機を招いたBOEの二の舞になると恐れた。大変動は自由に変動させないから起きるのだ。

15日の上限1.20撤廃後のユーロスイスの動きは、1971年ブレトンウッズ体制崩壊後で、主要通貨ペア最大の変動幅となった。ECBの緩和後にユーロが続落したこともあり、ユーロスイスも1.00のパリティを割り込んだままでいる。上記1のように、ユーロはますます不透明なので、売られ過ぎによる反発以外のユーロ高は考えにくい状況だ。

本来ならば離れたり、変動したりする2つ以上のものを固定する通貨ペグは、時間の問題で大変動の要因に繋がる可能性が高い。通貨ペグが問題だとなると、次はどこかと身構えたくなるものだ。デンマークは政策金利のマイナス幅を広げ、これ以上の打つ手がなくなってきた。

米ドル連動では、これまで米連銀と歩調を合わせて通貨供給を行ってきた中国が注目されている。チャートはドル円と、元円だが、ほぼ同じに見えるのは、ドル元がほぼ連動していることを示している。
図4:元チャート
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今後も中国元を米ドルと連動させるなら、中国経済の状態とは関係なしに、年後半からは引き締め以外の選択肢がなくなることになる。
参照:Will China be the next forex peg to break?
http://www.marketwatch.com/story/will-china-be-the-next-forex-peg-to-break-2015-01-18

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