2015年1月5日時点での主要市場見通し

④公社債価格下落は広範囲に悪影響を

・社債価格の下落は、様々な悪影響を引き起こしうる。もちろん米国企業にとっては、資金調達コストが増大することになる。足元は、米国以外の企業も、低金利を活用しようと、米国内での米ドル建て社債発行を増やしてきた。こうした非米国企業も、資金調達がこれまでほどは安易にできなくなるだろう。
・ちなみに一部の海外企業は、米ドル建てで調達した資金を、米国の証券市場に投資する、といった、利ザヤ稼ぎ、マネーゲームに走っているのではないか、との疑念も強いようだ。もし資金調達が細れば、米国内の証券市場に売りが広がる、という展開が生じうる。
・加えて、米長期金利の上昇が米ドル高を招けば、海外企業にとっては、既発の米ドル建て債務残高の、現地通貨換算額が膨張し、債務の返済負担が増大する恐れも広がるだろう。
・また、国債のみならず社債の価格下落が懸念されるのは、そうした公社債が、レポ取引(買戻し条件付き債券売買取引、日本の現先に相当)の担保によく使われているからだ。国債や社債の価格が下落すれば、場合によっては資金の出し手は取り手に対し、追加担保の差し入れを要請する。資金の取り手が追加担保を供することができず、資金もすぐには返せない、となれば、レポ取引がデフォルトする。この場合、資金の出し手は担保の債券を売却して資金回収に走るので、そうした売りがまた債券価格を押し下げる、といった、悪循環を引き起こすことも生じかねない。
・さらに心配なのは、このところの銀行規制の強化で、米銀が社債などリスク資産の保有を減らしている点だ。社債価格の下落が進む場合、銀行が社債の売買市場への参加度合いを低減させているので、少ない売買高の中、社債の値段が急落する展開もありうるだろう。

⑤長期金利の上振れによる混乱が生じても、短期的なもので、タイミングもわからない

・もちろん、述べたような金融取引の決済不能の広がりなどが、金融システム全般を脅かすリスク(システミックリスク)に対しては、米連銀は既にリスクの可能性を踏まえて事態を注視しており、個別の案件はともかく、米国金融システム全体を揺るがすようなことにはなりくにいと考える。
・加えて、米国経済の回復度合いの緩やかさや、前述のような連銀の慎重な利上げ姿勢を踏まえれば、米長期金利が長期的持続的に大きく上昇し続ける、という展開は見込みにくく、最悪の場合でも、金利の水準訂正が短期的に急速に生じる形だろう。したがって、述べてきたような米国証券・金融市場の動揺が現実に起こるとしても、短期的な混乱であり、深刻な事態に陥るとまでは想定する必要は薄いと考えている。
・問題は、本当にそうした長期金利の急速な跳ね上がりが(実現する可能性が高いとは考えてはいるが)必ず起こるかどうかはわからない(跳ね上がりというより、極めて穏やかな金利上昇がゆっくり続くかもしれない)、ということだ。また、長期金利の跳ね上がりは、何かタイミングが決まったイベントにより引き起こされるようなものではないだろう。年央近辺とみられる連銀の利上げが迫るほど、長期金利の上振れは起こりやすいため、まず5~6月に前倒しで長期金利が跳ね上がる展開が想定できると考えてはいるが、上振れが始まる前日まで、その気配は捉えられないだろう。
・したがって、投資スタンスとしては、2015年央以降に、市場の波乱が米長期金利の上昇により引き起こされることが必ず実現する、という前提を元に投資行動を行なう、というより、そうした波乱が生じるかもしれない、ということを頭において、株高・外貨高(円安)時にレバレッジをかけた買いポジションを拡大しない、また波乱が実現した時にあわてない、という心構えを薦めたい。

(3)国内金融政策に対する市場の期待が、梯子を外される可能性

・日銀が、「2015年度を中心とする期間に2%程度に達する」ことを目標としている全国消費者物価の前年比は、生鮮食品を除くベースで、2014年11月分は0.7%(消費増税の影響を除く)しか上昇していない。前年比上昇率の低下は、7月から4か月連続だ。
・このため、日銀の物価目標は達成できない、との見方が広がっている。昨年12月17日付の、ブルームバーグによるエコノミスト33人を対象にしたアンケートでは、32人が、日銀の物価見通しが実現しない、と答えている。
・もし物価見通しが達成できない、との観測が広がる場合の市場の期待は、日銀は量的緩和をいくらでも追加するだろう、というものだと推察される。実際に黒田日銀総裁は、種々の発言で、目標を達成するために追加手段をいとわない、という姿勢を示し続けている。このため、物価上昇率が低迷すれば、追加緩和期待から、国内株価が上昇し円安が進む局面がありえよう。
・ところが、上記のアンケートでは、5人のエコノミストが、日銀は(2015年終わりまで展望しても)追加緩和しない、と答えている。すなわち、「日銀は物価目標を達成できないが、それでも追加緩和しない(あるいは追加緩和できない)」と考えている専門家が、最低でも4人はいることになる。実はこうした展開がありうると想定される。もしそれが実現し、その時追加緩和期待から国内株高や円安が進展していれば、梯子を外されることにより、極めて大きな反動が生じる(株安・円高が生じる)だろう。
・日銀が梯子を外す(追加緩和を行なわず、2%の物価目標達成をあきらめるか、達成時期を先送りする)要因は様々考えられるが、一つの可能性は、現在の物価上昇率押し下げに、原油価格下落が作用している、という点だ。現時点での原油価格の前年比下落は大幅だが、仮に足元の原油価格がずっと横ばいで推移するという前提を置けば、来年末に向けては原油による物価押し下げ効果が縮小していく(図表22)。

(図表22)
zuhyo22

・すなわち、(あくまでも原油価格横ばいが続くという前提の下の議論だが)今年半ばに消費者物価上昇率が低迷していたとしても、そのまま放置しても原油効果の剥落からインフレ率が回復していくと見込まれれば、追加緩和を行なわなくてもよい、という結論になりうるのである(これに、エネルギー価格低迷による需要増効果が加わっていれば、なおさらだ)。
・したがって、国内株式市場や為替市場で、追加緩和間違いなし、との期待が広がる局面があれば、逆に警戒的に臨むべきだろう。
以上、シナリオの背景。
このあと、前月号(2014年12月号)見通しと年間見通し(2014年1月号)のレビュー。

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