2015年の2大投資対象、日本と米国

超過利潤はどこに消えたのか=モデル転換投資の原資に

このように日本では労働と資本が十分効率的に稼働していたのに、その成果を日本人(労働者と貯蓄者)が享受することはなかった。それは日本の資源提供者(=労働者と貯蓄者)にとっては極めて不公平(unfair)であったが、そこでは明らかに超過利潤が発生していたはずである。問題は、安価な労働と資本を手にして超過利潤を謳歌したはずの日本企業の収益が、2012年まで低迷していたことである。その理由は、①デフレ(CPI下落と資産価格下落)と円高による売価、輸出価格の低下により企業の超過利潤が買い手に奪われたこと(図表11)、②日本企業のビジネスモデル転換投資(技術開発投資、グローバル投資)の原資として超過利潤が費消されたこと(図表9, 10)、の2要因のためであった。

★図表9-10

しかし既に議論しているように、そうした時代はほぼ終わった。第一に円高デフレ終焉により超過利潤が買い手に奪われることはなくなった。第二に日本企業のビジネスモデル転換(高技術・品質製品への特化とグローバルサプライチェーンの建設)はほぼ完了し、コストの重圧は軽減している。つまり、安価な労働と資本を活用できる日本企業の超過利潤は、企業収益急伸へと顕在化する場面に至ったのである。日本企業の損益分岐点比率の急激な低下はそれを如実に示している。2015年は、過去最高の企業収益の分配から日本経済の好循環が起きるだろう。つまり賃金が大きく上昇をはじめ、株価上昇と金利の上昇によりリスクプレミアムの急激な低下が始まると予想される。

★図表11-12

日本企業が獲得した成長のばね

よく考えれば、失われた20年とは発展の条件を蓄積した20年とも言える。日本企業は逆風の中で、

① 世界最高のスリム化・コスト削減、

② 先端技術開発とソリューション提供型(サービス一体型)ビジネスモデルの開発、

③ グローバルネットワークの確立、世界市民化、

④ 潤沢な資本の蓄積(空前の投資余力=富士フィルムの成功体験を見るまでもなく潤沢な資本蓄積は、飛躍の決定的条件)

を成し遂げた。それは上述の労働者と貯蓄者の犠牲によって実現したものである。そしてその成果が円高・デフレ脱却の環境下で、大きな収益増加となって顕在化している。2015年はその高収益の分配から経済の好循環が始まる年となるだろう。ようやく労働者に賃金上昇、貯蓄者に株価上昇(いずれ預金金利も)という形で成果が配分されるだろう。

貿易構造変化に見られる日本企業のビジネスモデル転換

企業のビジネスモデルの転換は、日本企業の貿易構造の変化に如実に現れている。かつての円安の景気浮揚効果は、円安によるドル建て輸出価格の値下げ→海外シェア上昇・輸出数量増加→国内生産増加、という連鎖であった。しかし今回の円安局面では図表13に見るように、輸出価格が大幅に上昇している一方、輸出数量が低迷を続けている。もはや日本の企業は価格競争をしていないので、円安になってもドル建ての値下げをする必要がなく、円ベースでの輸出単価が大幅に上昇している。しかし円安になっても値下げにより価格競争を挑まないのであるから、輸出数量は増えず生産増加という好循環がこれまでのところ起きていない。「価格競争によりシェアを拡大し、近隣窮乏化をもたらすビジネスモデル」から、「技術品質優位品に特化し、競争を回避するモデル」に完全にシフトしたのである。それは貿易摩擦どころか、海外諸国が自国の発展に不可欠の日本の技術・品質を求めて日本製品を渇望するという状況をもたらす。また、日本企業には値上げによる収益押し上げをもたらす。

★図表13

2015年は価格数量の相乗効果で収益大幅増加、ROE急伸へ

もっとも2015年に生産数量は大幅に増加しそうである。第一に、2014年夏場以降、対中輸入数量が年率5%を超える減少に転じており、国内生産代替の進行がうかがわれる。実際、中国と競合してきた中小企業向けの設備資金貸し出しが増勢を強め、工作機械受注も過去ピークに迫っている。第二に、東芝、マイクロンテクノロジー(エルピーダメモリー)の国内拠点拡充などの工場の国内回帰もあり、貿易数量も今後大きく改善しよう。第三に2014年の内需を押し下げた消費税増税効果が一巡し、内需が高まる。生産数量と単価上昇の相乗効果の発現は日本の高度成長期を彷彿とさせるものとなろう。

そうしたファンダメンタルズに支えられ、2015年の日本株式は、2012年11月から始まった(当社が想定する)世紀の上昇相場の、第二波のsweet spot に入っていくと思われる。

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