欧州民族主義の台頭

・民族主義の火種

BBCは、スコットランド住民投票の最終結果について、独立反対55.3%、賛成44.7%だったと伝えた。

独立否決を受けて、スコットランド行政府のサモンド首相は辞意を表明、「スコットランドの独立運動は続き、夢は決して死に絶えない」と述べた。今回の民族主義的な独立の火は収まったが、火種は残ったままだ。

英政府はスコットランドの自治権拡大を約束したが、それで火種はなくなるだろうか? では、何がその火種を大きくする可能性を持つのだろうか? 私は経済だと見ている。

英国2014年第2四半期のGDPは前期比0.8%増、前年比3.2%増、その規模は過去最大となった。

5-7月のILO基準失業率は6.2%と、4-6月の6.4%から低下、2008年以来の低水準となった。7月の雇用者数は7万4000人増だった。

8月の手当申請ベース失業率は2.9%だった。7月の3.0%から低下した。失業保険申請件数は3万7200件減少した。

4─6月期の小売売上高指数は前期比1.6%増、前年比4.5%増と、2004年終盤以来の大幅な伸びとなった。

第2四半期の消費支出は前年比2.6%増だった。第1四半期の2.1%増から加速した。

7月の鉱工業生産指数は前月比0.5%増、前年比1.7%増と、11カ月連続で前年を上回った。製造業生産指数は前月比0.3%増、前年比2.2%増だった。

8月のネーションワイド住宅価格指数は前月比+0.8%、前年比+11.0%だった。平均価格は18万9306ポンド。
8月のハリファクス住宅価格指数は前月比+0.1%、前年比+9.7%で、平均価格は18万6270ポンドとなった。

8月の建設業PMIは64.0だった。7月の62.4から上昇した。

8月のサービス業PMIは60.5と10カ月ぶりの高水準だった。7月の59.1から上昇した。

2014年世界経済フォーラム:
競争力世界9位
インフラ整備10位

S&Pの格付けAAA、見通し「安定的」。などなど。

PMIの60超えは、他ではほとんど見ない高水準だ。独立派の支持層が若年層や低所得者なのを鑑みると、景気の良さが歯止めになった可能性が高い。この国を離れることは政治的だけでなく、経済的にも大きなリスクなのだ。

一方で、前年比で1割も上昇している住宅価格は、独立派支持層の夢を、住宅所有から独立へと向かわせる。また、以下のような気になる数値もある。

英企業2013年時点の経営者は平均で、従業員平均の143倍の報酬を得ていることが分かった。1998年時点の47倍から、15年間で格差が3.04倍拡大した。
参照:UK’s top bosses paid 143 times more than staff
http://www.cnbc.com/id/101926585

景気が良いと見なされる英米を含め、世界中で貧富の差が拡大している。2014年世界経済フォーラムでも、貧富格差の拡大が世界の最も大きなリスクの1つだとされた。欧州各地でも格差は拡大し、民族主義の台頭が至る所で見られるようになっている。

スコットランドの独立是非に、英景気の強さがブレーキとして働いた可能性があるとすれば、ドイツなど一部以外の失業率が過去最高水準にとどまっているユーロ圏では、景気はむしろアクセルとして働く可能性がある。

例えば、スペイン7月の失業率は24.5%だった。スペイン8月の失業者数(失業保険申請ベース)は前月比0.18%増、前年比5.76%減の442万7930人だった。若者の失業率が2013年には57.2%にまでなったのだ。スペインではカタルーニャとバスクが民族主義的な独立運動を展開している。

また、ユーロ圏には独特の環境がある。カタルーニャ地方政府の上部政府はスペイン政府だが、その上にはユーロ政府があることだ。「選挙で投票しても政治の方向を変えることはできず、不平等だ」。「自分の意見が届かない」度合いは、スコットランドの比ではない。

スペインが米サブプライムショックの余波を受けて、不動産不況に至った時、欧州中銀はその後1年間利上げを続けた。ドイツなどのインフレを懸念してのことだった。その結果として、スペイン経済はサブプライムショックの本家米国以上に落ち込み、ユーロ圏のお荷物と見なされるまでになった。スペインですら「自分の意見が届かない」のだから、カタルーニャは2つの上部政府に翻弄され続けるしかないのが現状だ。

カタルーニャに2つの上部政府はいらない。通貨・金融政策を持つユーロ政府だけで十分だ。そう思わせるだけの環境がカタルーニャだけでなく、ユーロ圏各地に広がっている。

それにしても、スコットランドが英国に留まったことで、オーストラリアやニュージーランドは胸を撫で下ろしていることと思う。両国の国旗には英国のユニオンジャックが入っている。国旗を変える必要があるところだった。

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