過熱感なき、熱狂なき円安・株高は新トレンドを示唆する

(2)円売り投機の条件整う、円安は止まらない

円安オーバーシュートの可能性

為替決定の三大条件、①紙幣印刷速度、②貿易収支(=為替の実需給)、③実質金利(=為替の投機需給)、がすべて史上初めて円安方向にベクトルが揃っている。加えて30年間の執拗な円高の原因であった地政学(覇権国米国の国益)が円安容認にシフトした。購買力平価(PPP)ベースで見れば103円/ドル前後が妥当な為替水準であるが、為替にオーバーシュートはつきものである。図表4に見るように過去の主要国の為替変動幅は、PPP±30%がこれまでのレンジであった(1980年から2000年までの異常円高期を除いて)。となれば1ドル120円台後半までの可能性も出てくる。

★図表3-4

以下に為替決定の三大条件が決定的に変化していることを見ていく。第一の円安の条件は、今や日銀は世界随一のハト派でありベースマネーの伸びは世界最大であるということである。言うまでもなく、通貨の強弱を決める最も基本的条件は、マネー供給のバランスである。日銀が世界一紙幣を大量に印刷しているということは、最大の円安要因である(図表5)。第二に、日本は昨年来著しいドルの実需要を生み出す空前の貿易赤字(2014年年率15兆円ペース)に陥っている。それは輸入業者が年間15兆円もの輸入代金のためのドル買いを迫られていることを意味する。かつての日本は大幅な貿易黒字が続き、輸出業者のドル売りが常態化し、ドル円の実需給は常に大幅なドル売り円買い圧力にさらされていた。それが大きく逆転したのである(図表6)。第三に、日本の実質長期金利は史上初めてマイナスかつ世界最低になっていることが注目される(図表7)。これまで日本はデフレが続いていたために、名目長期金利が世界最低であるにも関わらず、実質金利は他国以上に高かった。実質金利が高いということは借金の負担が大きく借金返済のモチベーションが高まることであり、結果、日本では信用収縮傾向が強かった。しかし、今や日本は世界最低かつマイナスの実質金利の国となり、日本が世界で一番借金をしやすい国になったのである。言うまでもなく借金をするということは、為替取引では円ショート(円を売ること)を意味する。円は世界で一番買われやすい通貨から、売られやすい通貨に転換したのである。

★図表5-6

★図表7-8

円=safe haven ステイタスの終焉

以上3つの決定的と言える円安要因は、当分変わりようがない。つまり円の価値を決定する基軸が180度転換したのである。これまで円は世界最大のセーフヘイブン・スイテタスとしてリスク回避時に、避難先として選好されてきた。リスクオフの局面では、世界唯一のデフレにより実質価値が増価する円の魅力度が当然に高まってきたのである。しかし、今や円は実質金利が世界最低なのであるから、最も価値の減価が激しい通貨、つまり最も持ちたくない通貨となったのである。そうした世界の投資家に共有されるパーセプションの地滑り的変化が今、起きつつあると考えられる。日本の投資家のパーセプションも決定的に変化しつつある。これまで「Cash is King」としてリスク回避に徹していた家計・年金・保険など日本の投資家は、リスク資産として外貨建て資産を増加させる必要が高まる。現金・預金・債券に過度に比重を置いていた日本の投資主体は、外貨建て資産を大きく増加させるだろう。GPIFの運用改革はその嚆矢となるだろう。

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