2014年8月1日時点での主要市場見通し

1)地政学的リスクと米長期金利急上昇リスク

・このところ湧き起った地政学的な不安定要因(ウクライナ情勢、イラク内乱、イスラエルのガザ侵攻に加え、アフリカ地域でもリビア等で不穏な情勢となっている。
・金融面では、ポルトガルの大手銀行エスピリト・サントの経営不安や、アルゼンチン国債のデフォルト問題などが、懸念を呼んでいる。
・しかしこれらの諸問題は、既に市場にさらされた感が強く、楽観をけん制する方向で働くことがあっても、世界市場をさらに混乱させるとは見込みにくい。

・このため、米長期金利が急上昇するリスクを、引き続き警戒したい。足元の米長期金利の上昇は、7/30(水)発表の4~6月の米GDP統計が、予想外に強かった(実質GDPが前期比年率で4.0%増と、市場の事前予想の3.0%増を上回った)ことによるものである。また、当レポートの前月号(7月号)でも取り上げたように、米国の経済指標から推し量れば、10年国債利回りが3.5%近辺でもおかしくはない。すなわち、足元始まったかもしれない米長期金利の上昇がさらに進行しても、それは米景気の堅調さによる、低すぎる金利水準から妥当な金利水準への正常化に過ぎず、過度に懸念する必要はない。

・しかし、相場は往々にしておとなしくは動かない。米長期金利の正常化が異常に速いスピードで進んだ場合、他市場も巻き込んだ混乱に陥るリスクは高い。実際、7/31(木)の米国株の大幅下落の背景には、金利上昇懸念があったと推察される(※1)。
・為替市場では、現時点までは、米長期金利水準の上昇がインカムゲイン拡大(償還までの利回り益上昇)期待を招き、米ドル高を引き起こしている。しかし長期金利の上昇
(長期債価格の下落)スピードが速くなると、キャピタルロス(債券価格の値下がり損)拡大懸念に市場の見解が化け、米ドル安に向かう可能性が否定できない。

・加えて、最近の米長期金利の低迷により、より高い利回りを求める資金が、社債(特に利回りが高い低格付け債)に流れ込んでいたと推察される。BBB格社債(BBB格は低格付け債ではないが)と国債の利回り格差(ともに10年物)をみると(図表1)、社債が買い上げられたことにより格差が大きく縮小していた。すなわち、社債相場に過熱感が生じている。ここで長期国債利回りが跳ね上がれば、社債市場も激震に陥るリスクがあると懸念される。

(図表1)
★図表1

・前述したことの繰り返しになる部分はあるが、米長期金利の上昇速度が速かったとしても、金利の上昇自体は米国景気の強さによるものであり、本来悪質なものではない。また、筆者が懸念しているような、急速な金利上昇が生じず、緩やかな変化にとどまる可能性もある。
・また、社債市場については、本来、景気回復は企業財務の改善を生じ、格付け引き上げ要因であるため、長期国債利回りが急速に跳ね上がって短期的に社債市場が混乱に陥ったとしても、中長期的には社債・国債利回り格差が縮小することが自然だ。
・したがって、仮に長期金利の急速な上昇により、米国株価や米社債価格が大幅に下落することがあれば、価格の落ち着きを見て投資のチャンスとなるだろう。

※1 7/30(水)のGDP統計が強かった点は、景気の好調さを示すものであるため、本来は米株価上昇要因であるが、それにもかかわらず当日の米株価指数が前日比でほぼ横ばいとなったのは、やはり長期金利の上昇が株価の頭を抑えたためと考えられる。

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