世界のシルク(蚕糸絹業)は成長産業

2、世界の需要と供給の構造

 養蚕は古代中国で始まり、5世紀にヨーロッパに普及した。19世紀後期(日本の明治期)、世界有数の養蚕国であったフランス、イタリアが蚕の伝染病で壊滅、代わりに日本が輸出国となり、日本の養蚕が発展期を迎え、1900年頃には中国を抜いて世界一になった。かっては日本が世界の生糸生産の6割も占めていた。しかし、1980年代から急激に後退し、逆に中国が再び復興、世界一になった。

 世界の生糸産地はよく移動している。シルクの供給国は発展途上国である。現在、世界の生糸生産の約80%は中国である。次いでインド(13%)、ベトナム(5%)が主要供給国になっている。他にベブラジル、ウズベキスタンの新興国も生産国である。

 中国の中でも、経済発展とともに産地は変化している(東桑西移)。従来、東部地区の江蘇省、浙江省などが養蚕の中心であったが(東部のシェア60%)、2000年代に入り四川省、雲南貴州省、広西自治区など中西部地域へと移動し始めた。現在、最大の主産地は広西自治区であり、中国全体の生糸生産の4割を占める。養蚕業の産地は東から西への移動が明瞭である。

◇土地生産性は高いが、労働生産性が低い
 この「東桑西移」は、養蚕業は土地生産性は高いが、労働生産性が低いことが要因である。杭州電子科技大学の范作冰教授の研究によれば、浙江省の作物別生産性を比較すると、1ムー(1/15ha=6.67a)当たり収入は繭4307元、稲作2226元、緑茶3408元である(2011年)。養蚕の土地生産性は高い(范作冰「蚕糸絹業の国際比較分析」2013年8月20日、農林水産政策研究所セミナー報告。http://www.maff.go.jp/primaff/meeting/kaisai/pdf/0820sansikengyo.pdf)。

 一方、労働生産性を比較すると、1日当たり収入は繭112元、稲作232元、緑茶95元、柑橘184元、トマト207元、油菜120元である。農業の中で比較しても、労働生産性は低い。したがって、賃金上昇に伴いコストが上昇すると競争力を失うので、低賃金の中西部地域に産地がシフトしていくことになる。発展途上国が供給国である理由もここにある。

◇シルクの消費は高所得国に集中
 一方、シルクの消費は先進国、高所得国に集中している。最大の消費国は米国である。次いでイタリア、フランス、イギリスなど欧州勢、そして中近東である。日本も有数のシルク消費国である。

 合成繊維の技術進歩にもかかわらず、先述のように、シルクの需要が上昇トレンドにあるのは、シルクの消費者が高所得者に集中しているからであろう。シルクは価格は高いが、肌触りの良い高級材である。低所得層の消費行動は価格選好が強いが、高所得層は品質選好が強い。また、シルクの価格は上昇傾向にあるが、贅沢品であり、価格弾力性が小さいのではないか。こうした要因が、シルクの根強い需要の背景であろう。

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