循環回復力を強める米国経済、蔓延する構造悲観論とは裏腹に~QEの有効性を主張するFRBに説得力あり~

雇用と賃金に大幅な改善の余地→家計所得の加速へ

次に雇用拡大、賃金上昇が家計所得を浮揚させる経路について見てみよう。失業率はリーマン・ショック後、ピークの10.2%から2014年6月には6.1%まで低下したものの、雇用回復は依然緩慢である。失業率の改善は主として労働参加率の低下によってもたらされたものであり、就業人口比率は依然低迷している(図表18)。図表19により広義の失業者を推計すると着実に減少してはいるものの、過去の好況局面には程遠いことが明らかである。FRBの注目するSlack(余剰)が依然極めて大きいのである。また賃金もようやく上昇が始まったばかりの局面であることが分かる(図表20)。しかし賃金に対して先行性があると言われる全米独立企業連盟(NFIB)による賃上げ計画企業比率を見ると2014年に入り大きく上昇しており、今後の賃金上昇加速が示唆されている(図表21)。今は着実な雇用増加と賃金上昇加速より、家計労働所得の増加に弾みがつきつつある場面と言える。

★図表18-19

★図表20-21

 

(5) 所得分配転換、企業余剰は減少に

労働分配率の長期低下トレンドに潮目到来

家計の労働所得の増加は、国民所得の分配構造を変化させ、消費と住宅投資を一段と押し上げていくだろう。図表22により米国の労働分配率と景気循環の推移をたどると、景気拡大の前半で労働分配率が低下し、中ごろから景気のピークにかけて労働分配率が上昇するという規則性がうかがわれる。そして現状は2000年から続いた世紀の長期労働分配率低下がほぼ終焉し、上昇に転ずる場面にあることが観察できる。それはいずれ大きく高まった企業収益/国民所得比率を引き下げることに結び付いていくのではないか(図表23参照)。

★図表22-23

巨額な企業の資金余剰も減少し始めた

労働分配率の上昇はキャッシュフローを引き下げ、企業に著しく蓄積された資本余剰を押し下げることとなるだろう。図表24、25は米国企業部門のキャッシュフローと設備投資、フリーキャッシュフロー(資金余剰)の推移であるが、2000年以降の労働分配率低下と軌を一にして、企業部門に大きな資金余剰が発生していることが顕著である。ITネット革命とグローバリゼーションによる超過利潤が企業に使い道のない資本余剰をもたらした。この資本余剰は労働の余剰と同根であり、2000年以降の米国経済にバブル形成と破裂というかく乱を与える原因となってきた。またピケティ氏が主張する格差を拡大させる原因にもなってきた。しかし、今この企業部門の資本余剰がはっきりと減少する傾向を見せ始めている。

今後、企業の余剰資本は、①設備投資増加、②自社株買い・配当の増加と③空前の水準まで盛り上がるM&Aなどにより、急速に減少に転ずると見込まれる。それは滞留していたSlackが経済循環過程に還流し、有効に活用されていくことを意味する。米国経済の需要不足は着実に解消されていく目途が立ちつつあると言える。

★図表24-25

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