循環回復力を強める米国経済、蔓延する構造悲観論とは裏腹に~QEの有効性を主張するFRBに説得力あり~

構造論が問題とする「需要不足」「格差」は正当な懸念

ピケティ氏の主張、「資本主義の下では資本のリーターン(r)が経済成長(g)より大きくなり格差拡大に帰結する」という議論は常に正しいかどうかは疑問が多いところであるが、米国経済の現状はまさにそのとおりである。企業部門と富裕層に使いきれない資本余剰が蓄積され、需要創造の好循環に結び付いていていない。図表6によって米国の企業部門のフリーキャッシュフローを見ると、2000年以降、恒常的な余剰が定着していることが分かる。また図表7で利潤率の代表としてのROEと利子率の代表としての長期金利(10年国債利回り)を見ると、リーマン・ショック以降、両者のかい離が顕著となっている。企業が高収益を上げているのに投資・消費需要が十分に高まらず、資金需要を喚起できず低金利が続いていると言う現実が如実に示されている。

ピケティ氏は、長期的には資本に対する累進課税による所得の再配分によって現状の是正が可能とする、②、③の立場のようである。しかし、短期的にはピケティ氏の見る現実、つまり資本の余剰と高利潤の共存は、投資のリターンが高く、投資のコストが著しく低いのであるから株高材料と言うほかはない。

★図表4-5

★図表6-7

 

(3) FRBが主張する金融政策の有効性に説得力あり

サプライサイドに働きかける新たな金融政策QE

それらの構造論に対する米国中央銀行FRB(イエレン議長)の立場は、①である。困難の原因が何であるかの特定はできないにしても、対症療法としてのQE(量的金融緩和)は大きな成果をもたらし続けてきたし、現在も更なる改善が進行している。FRBの最近の見解はリーマン・ショックという需要ショックが供給サイドに履歴効果を与え、潜在成長率を引き下げた。つまり金融危機と需要の急収縮が、①設備投資下落、②生産性低下、③労働(求職)意欲の喪失、④自然失業率の引き上げなどにより、供給力に打撃を与えた。故に、金融政策は本来需要政策ではあっても、現在は供給力を押し上げる効果が期待でき、それは潜在成長率を押し上げる、という主張である。

景気は若い、循環回復で金余り・人余りは解消できる

そこで米国経済の現状を分析すると、FRBの主張に説得力があることが分かる。以下に見るように米国経済は、リーマン・ショック後の後遺症により循環的回復が極めてスローであり、本来の景気回復が実現していない。いわば、景気サイクルがいまだに4~5インニングにとどまっており、経済拡大がピークを迎える9インニングまではまだ相当の時間的余地があると考えられる。それは、① 住宅、設備投資において大きな未充足の潜在需要を抱えていること、② 賃金上昇がピックアップし始めたところであり、家計所得を押し上げる好循環はむしろこれからであること、着実に進む雇用拡大も家計所得を押し上げること、③ 信用循環(クレジットサイクル)面でも、景気年齢は極めて若いこと、の3つの側面から明らかである。サマーズ氏が主張するような政府の関与と劇的なイノベーションが無くても、ペントアップ需要だけで経済拡大の余地が十分に大きい局面と言える。

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