2014年7月1日時点での主要市場見通し

・こうした楽観的なシナリオに対するリスクとしては、やはり新興諸国を中心とした地政学的リスクが挙げられる。東アジア情勢も、尖閣諸島を巡る日中間の緊張だけではなく、中国対ベトナム・フィリピンも緊迫化する可能性は否定できない。中東地域でも、イラクの内戦が、隣国シリアを巻き込む、また米国、ロシア、イラン、サウジアラビアなどの諸国間の外交バランスの不安定化を生じる、という展開はありえよう。ただし、既にこうして明らかになっている範囲のリスクにとどまれば(すなわち、まだ多くの人が想定していないような事態が勃発しなければ)、とりわけ世界市場を大きく揺るがすようなことにはなりにくいだろう。
・もう一つのリスクとして、(短期的なリスクだが)米国長期金利の急速な上方修正の可能性を、引き続き警戒したい。

(図4)
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・米国10年国債利回りの推移については、米国経済の成長力が衰えているのだから当然だ、との意見もあるが、たとえば企業の景況感を示すISM指数と合わせてみると、現在の長期金利はいかにも低すぎる(図4)。以前は、米国景気の先行きに対する不安、欧州財政懸念による欧州から米国への資金シフト、連銀による国債買い入れといった要因により、長期金利の低さを正当化する理由があったと言える。しかしこうした要因が剥落している現時点では、素直に長期金利が低すぎると考えるべきだろう。
・図でISM指数の位置から10年国債利回りの「あるべき水準」を推し量れば、3.5%程度となる。このくらいの水準まで緩やかに長期金利の修正が進んでも、金利上昇の理由が、米国経済が健全に回復しているということであるから、米国株や米ドルに悪影響は少ないだろう。しかし、混乱を伴う形で(パニック売りにより)米国長期金利が急速に跳ね上がれば、米国株の短期的な下落を引き起こし、それが米ドル売りに跳ね返る展開になると懸念される。
・こうした米国長期国債市場の短期的な混乱というリスクは、顕在化しない可能性も十分にありうるため、過度に恐れる必要はないだろうが、頭の隅には置いておくべきだろう。

・2015年前半を展望すれば、緩やかながら日米の景気が一歩さらなる回復へと進み、ユーロ圏経済も底入れから持ち直しの様相を強めよう。新興諸国の経済成長率も早晩下げ止まりが期待され、投資家心理も改善するものと予想される。このため、2015年前半は、新興国投資のリスクを取ろうとのスタンスが広がり、日米等の株価が上伸を続けながらも伸び悩む一方、新興諸国の株価・通貨が追いつく様相が優位になると予想する。
・ただし、中国については、長期的に徐々に少子高齢化の影響が重しとなると懸念される。加えて、現在の外交上の摩擦が深刻化し、海外から中国向けの投資が減退し、それが中国経済の減速を推し進め、国内で経済的格差の問題に焦点が当たる結果となり、その政治的不満をそらすためさらに対外的に強硬姿勢を強める、といった、悪循環に陥る展開が十分ありうると考える。
・既に先進諸国の企業は、沈みゆく船から逃れるように、中国から潮が引くように撤退しつつある。すなわち、中国経済がさらに減速しても、それは既に世界企業にとって予想していることであり、世界全体としては他地域の経済成長で埋め合わせ、大きな波乱は生じにくいだろう。したがって、中国発の世界不況というシナリオには同意しないが、中国市場への投資は控えるべきだろうと考えている。

・このように、2015年前半は、先進諸国市場の株価等の伸び悩み(上昇率の鈍化)と新興国市場の追い上げという形で、引き続きの世界的な株高、長期金利上昇、外貨高・円安基調を予想するが、こうした基調に転機をもたらす可能性がある要因が、米連銀の利上げだろう。
・自動車でたとえれば、量的緩和の縮小はアクセルを緩めるだけであるが、利上げはブレーキを踏むことになる。米国経済が強いからこそ利上げが行なえるわけであるから、過度の懸念は必要ないだろうが、これまで長く続いた金融緩和策の出口をうまく出ることができるかどうか、もし連銀が最終的に振り返ってみればうまく出口を出た、という結果になっても、事前に市場が勝手に不安がって相場が波乱に見舞われることがないかどうかは、極めて不透明だ。
・イエレン議長は、米国の雇用情勢などを慎重に見守っており、利上げがあるとすれば2015年後半のこととなるだろう。したがって、米利上げ(あるいは利上げ観測)をきっかけとした世界市場の波乱も、あるとしても2015年後半のことと想定できる。しかし、何らかの要因で、市場の不安が年央より前倒しで発生するような展開も、ありえないことではない。徐々に2015年央が迫る局面では、慎重な投資スタンスをもって望みたいところだ。

以上、シナリオの背景。

このあと、「前月号見通し」および「2014年1月号における2014年前半見通し」のレビュー。

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