「失われた20年」ではなく「モデル転換の20年」~過去最高企業利益の真因~

(2) 円高デフレの第二の成果 -企業のグローバル化と技術優位保持

グローバル展開進む

次に円高デフレに喘いだ過去20年の第二の成果、グローバル化について見てみよう。急速なグローバリゼーションの進展と軌を一にして、日本企業の海外投資が増加し海外生産比率も大きく上昇した。1990年代初頭、「日本異質論」が吹き荒れた。日本は「国内市場を外資に対して閉鎖しながら著しく競争力の強い商品を国内で作り、海外に集中豪雨的に輸出して、相手国の産業をなぎ倒し、雇用を奪う要塞国家」と非難された。図表7に見るように当時の日本の海外生産は10%弱で、欧米先進国に比べて大きく立ち遅れていた。しかし2007年には33%と主要国とは遜色無くなり、日本企業は海外でも雇用を奪うどころか、雇用創造の担い手となっている。日本製造業の海外生産比率を所得(付加価値)ベースではなく実態の工数ベースに近い雇用数ベース比較すると、海外生産比率は優に5割を超えていると推測される。日本企業の海外ネットワークの布石は完全に終わったと言えるのではないか。

★図表7

以上の様に20年前の日本の二つの欠点であった、高コストと閉鎖性は大きく是正された。加えて尚、日本の技術優位、品質優位の商品が多く存続している(韓国企業の躍進など一部に綻びは見られるが)。日本企業は円高デフレの困難な局面で単位労働コストを大きく圧縮しながらも、技術開発投資には優先的に資金を配分してきた結果である。

技術優位が活きる新ハイテク分野

日本製造業の技術・品質優位の中心はハイテク部品・素材・装置であろう。液晶テレビ、携帯電話、パソコンなどハイテク最終製品で日本勢劣勢であるが、より重要な要素技術の固まりである部品や素材においては、日本の優位は圧倒的である。太陽電池用シリコン・バックシート・ガラス、封止材、電気・ハイブリッド自動車向けリチウムイオン電池、半導体レジスト、モーター、電子部品などがその範疇に入る。昭和シェル石油が太陽電池に参入し、トクヤマ、信越化学、SUMCO、新日本ソーラなどは相次いで太陽電池用シリコン増産に踏み出している。半導体から派生したハイテク素材、部品、装置の全てを一国内に集積しているのは日本だけであり、そのシナジー効果は大きな優位性である。

太陽電池やリチウムイオン電池は技術発展の途上にあり製造プロセスの標準化が困難なために、半導体が陥ったような後発国の追い上げは当分起きず、日本の技術優位が維持される可能性は大きい。また半導体とその派生技術などから生まれた環境関連でも日本は圧倒的な技術競争力を持っている。純水装置、海水淡水化用逆浸透膜、排水リサイクルシステムなどの水処理関連、風力発電のブレードに使われる炭素繊維なども日本の独壇場である。日本は世界インフラ関連にも優位性をもっている。新幹線ではベトナムが日本製採用を決めた。電力ではクリーンエネルギーとして再注目を浴びる原子力発電で強い。

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