「失われた20年」ではなく「モデル転換の20年」~過去最高企業利益の真因~

モデル転換に役立った日本的ガバナンス

以上の事実は、通説とは異なる日本企業のガバナンスの肯定的側面をうかがわせる。確かに、閉鎖的で社内民主主義が損なわれている場合も多いだろう。また、株主に対する配分を軽視し、内輪(インナーサークル)を優先する傾向も大きいと考えられる。しかし、困難な過去20年間に、大半の企業が倒産することなく見事に「モデル転換」を果たしたことは、日本企業に特徴的なガバナンスが有効に機能した表れとも言えるのではないか。日本的ガバナンスが存在せず、企業が生産性に対する正当な労働報酬と配当など社外流出を増やし続けたなら、前述のモデル転換は到底不可能であっただろう。

一例として、富士フィルムとコダックの顕著な相違が注目される。かつて、バランスシート上に潤沢な資本・現金を蓄積しROEの最大化をしてこなかった富士フィルムは日本的財務経営、ガバナンスの問題児として海外の投資家から批判されてきた。しかし、中核製品の写真フィルムがデジタル化によって絶滅し、米国コダックが倒産する中で、富士フィルムは見事に業態転換を果たした。モデル転換の原資が日本的ガバナンスにより捻出できたからである。

★図表17

(5) 日本「モデル転換」の収穫期に、企業更なる増益、賃上げ、増配、自社株買い

デフレ脱却はもはや確実である。企業は新しいモデルの創設により十分に利益を上げている。今やこれまでのようなモデル転換のコスト捻出、相次ぐ金融危機に対処する財務クッション(過剰な資本、過剰な現金・流動性)は不要である。今後は賃金と配当、自社株買いによる分配、社外流出に比重を置くことができる。実質賃金上昇により内需の本格拡大が見込まれる。円安とインフレにより、日本企業の販売単価には上昇の余地がある。内需拡大による数量効果、デフレ脱却による価格効果が相乗的に働き、それは更なる企業収益増加を誘導するだろう。図表18に見るように日本企業の損益分岐点売上高は大きく低下している。今後の売り上げ増によりマージンの大幅な改善が期待できる。2014年度の企業の売上、利益見通しは著しく保守的と言えよう。アベノミクスの成功が革新されるにつれ、大幅な利益修正が見込まれる。

資本の株主還元、配当と自社株買いも活発になるだろう。海外企業に対して劣位にある日本企業のROEも顕著な改善が始まろう。典型的溜め込み型企業であったアマダの変化、「今後2年間の利益をすべて株主に配分する」との表明は象徴的である。アマダの株主配分優先、ROE重視経営への転換を可能にしたものは、すでに十分なビジネス基盤の確保(グローバル展開、技術製品開発の両面で)がなされたということである。それは多くの日本企業にも当てはまる。

日本株式の価値は大きく増大する局面に立ち至った。アベノミクスの現実を織り込む相場という以上に、「日本企業のビジネスモデル転換=長期企業収益増大」を織り込む時代に入りつつあると考えられる。投資資金の側ではGPIFの改革を嚆矢として、現金・預金・債券というリターンの低い資産からリスク資産への大移動が始まろうとしている。日本株式の空前の大相場が始まりつつあると主張したい。

★図表18

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