「失われた20年」ではなく「モデル転換の20年」~過去最高企業利益の真因~

(4) 世界最高のスリム化を実現した日本企業、実質賃金切り下げでモデル転換を実現

犠牲を強いられた労働者・家計

20年間の長期経済停滞という困難な中での日本企業のビジネスモデルの転換、「雇用を輸出するモデル」、「品質優位・技術独占のビジネスモデル」への転換は賞賛に値する。しかしなぜそれが可能になったかと言えば、犠牲が労働者とサービス分野に転嫁され、企業がモデル転換投資を持続できたからである。「失われた20年」という経済困難は、犠牲を転嫁された労働者・家計とサービス産業の困難であったと言える。

図表13は主要先進国の単位労働コストの推移であるが、他国が上昇する中で、日本企業の単位労働コストは顕著に低下してきた。つまり、日本企業は世界最高のスリム化を実現してきたのである。そうして捻出した超過利潤が、円高とデフレにより販売価格が継続的に下落する中でも、モデル転換投資を可能にした。

生産性上げたのに報酬は下落

図表14は2000年以降の日本の物的生産性、付加価値生産性、雇用報酬の推移であるが、三者が大きくかい離してきたことが分かる。物的生産性は上昇した(つまり労働者の価値創造は増加した)のに、付加価値生産性(つまり企業が実現した名目所得)は減少した。その差額は円高とデフレによる販売価格下落であり、所得は購買者に移転したのである。雇用報酬はこの減少した付加価値生産性よりもさらに低下した。つまり労働分配率が引き下げられ、犠牲を強いられたのである。労働者は労働分配率を引き下げられたのみならず、実質賃金も低下し、生活水準の低下を余儀なくされた。極めて不当な境遇にあったと言える。しかし、その結果もたらされた企業の超過利潤が、「モデル転換」の原資となった。労働者の犠牲は無駄には費やされなかった。

★図表13

★図表14

図表15は1997年以前のデフレ前の日本と1997年にデフレに陥ってからの日本の生産性、賃金、物価の推移を示したものであるが、デフレの前と後とで分配構造が顕著に変化したことが分かる。1997年のデフレ陥落前の日本も、図表16に見る主要国も、賃金上昇 > 生産性上昇 > 物価上昇という関係が一般的である。ところが1997年以降デフレに陥った日本では、分配が逆転し生産性(上昇)> 物価(下落)> 賃金(下落)となった。労働者の犠牲が浮き彫りである。

★図表15

★図表16

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