「失われた20年」ではなく「モデル転換の20年」~過去最高企業利益の真因~

(4) 「日本異質論」の終焉、デフレの終焉

「日本異質論」の消滅

考えてみると、日本の困難は1990年代初頭の「日本異質論」から始まったように思われる。1980年代末に日本製造業の世界経済秩序破壊意的な競争力の強さが明白となった。日本には異常な競争力の強さが近隣破壊に結び付かないように自己変革するか(海外での雇用創造や国内市場開放など)、競争力の抑制が求められた。超円高はそのためのコストであったが、それが日本にデフレをもたらし、長期経済停滞「失われた20年」をもたらしたのは、前回のレポート(投資ストラテジーの焦点287号)で詳述したとおりである。しかし、今や日本は異質ではなくなった。

「中国異質論」の台頭

代わって「中国異質論」が台頭し始めた。中国は1980年代末の日本以上に、近い将来近隣破壊的強さを持つことを恐れられている。現在、中国のGDP(2009年、4.8兆ドル)はほぼ日本と同等、米国の3分の1であるが、このまま行けば10年以内に米国を凌駕する可能性が高い。名目成長率を米国5%、中国15%とすれば5年後に米国1.27倍、中国2倍、仮に人民元が5割切上げられるとすれば、ほぼ5年余りで名目GDP規模は米国に肉薄することになる。外貨準備は更に増大し、中国のバインクパワーが他を圧することは間違いない。中国のそうしたプレゼンスは現在の中国の市場主義、民主主義、法治主義、財産権、知的所有権の状況からすると、世界のかく乱要因になりかねない。

しかも中国の強さは、かつての日本以上に技術・資本・市場などを海外に依存した成長構造に起因しており、それはフリーランチの側面が大きい。中国を抑制し自己変革の圧力をかけ続けるためには、その隣国の日本のプレゼンスの高まりがバランス上求められることである。それはペナルティ円高が再現する可能性を一段と低くするものである。

2010年代、デフレ終焉後の日本繁栄

このようにして円高が終焉すると、バラッサ・サムエルソンの仮説に基づく好循環が始まる。つまり、ようやく日本でも高い生産性上昇率に基づいた賃金上昇が始まる。それは直ちに国内の非貿易財産業の賃金水準にも波及し、サービス価格インフレを引き起こし、名目経済を拡大させる。増加した賃金は消費増加に割り当てられ、経済成長率を高めるという経路である。それは「失われた20年」に円高デフレをもたらしたものと全く同じ原理が、逆方向に働くということである。このような環境では、生産性上昇率格差インフレが再現する。つまり生産性が高まらない内需系のサービス産業であっても、インフレにより賃金と利益の上昇が可能になるということである。そうした好循環を早期に実現するためにも、円高デフレの悪循環を回避するリフレ政策が決定的に重要となるだろう。

★図表13

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