「失われた20年」ではなく「モデル転換の20年」~過去最高企業利益の真因~

(1) 過去最高収益への回復

必要条件「モデル転換」、十分条件アベノミクス

2013年度の企業業績(税引き利益)は、2008年度の過去最高水準を超えた。ROEも過去ピーク水準をほぼ回復、収益力は完全に長期停滞を抜け出した。この一義的要因が円安転換にあることは言うまでもない。それをもって、外部環境頼みの一時的増益とシニカルにみる見方もある。しかしそれは一面的解釈である。確かにドル/円レートは83.1円から100.2円へ(+20.6%)、ユーロ/円レートは107.1円から134.4円へ(+25.5%)と増価したが、それだけでは過去最高利益はおぼつかなかったであろう。最大の理由は、日本企業がモデル転換に成功したことにある。日本企業のモデル転換とは、日本経済の価値創造のパターンの転換である。戦後一貫して続いてきた「失業の輸出」モデル(価値収奪モデル)から「雇用の輸出モデル」(価値提供モデル)への転換である。そうした転換は、世界最大のコスト削減、リストラと研究開発の継続、の寄与によって可能となった。モデル転換がなければ、日本企業と日本経済は長期衰退トレンドに入っていただろう。このミクロにおける価値創造のモデル転換は、日本経済復活にとって必須の必要条件であった。それがほぼ完了していたからこそ、アベノミクスというリフレ政策が十分条件として機能しているのである。最近の円高デフレ脱却と日本経済の回復を、「アベノミクスという政策の成果ではない、タイミングが良かった、そもそも回復の機が熟していたのだ」と評する見方があるが、それも半面の真実と言える。

★図表1-2
 

(2)「失業の輸出」モデル、価格優位モデルの挫折

価値収奪、フランケンシュタインの日本

1990年までの日本企業のビジネスモデル(=日本の価値創造モデル)は完全に行き詰っていた。日本の絶大な競争力による集中豪雨的輸出に非難が高まった。日本企業のコスト引き下げ、シェア獲得の善意の努力は、世界のビジネス秩序の破壊者、まるでフランケンシュタインの如くに受け止められた。図表3に見るように、世界の不均衡はひとえに日本の巨額の経常黒字によってもたらされていた。知恵(世界秩序に対する価値観、軍事・政治力)はないけれども体力(競争力、経済力、貿易黒字)は世界最大、断トツというバランスを欠いた日本の存在は、危ういものであった。石原慎太郎氏は盛田昭夫氏との共著「NOと言える日本」で「日本の半導体チップがなければミサイルなど米国の国防技術精度は維持できず、軍事優位は保てない」等と主張した。確かに図表4に示すように1990年時点で世界半導体市場における日本のシェアは50%超え米国を凌駕、米国半導体は壊滅危機に瀕していた。湾岸戦争では知恵のない日本は体力に任せて世界最大の130億ドルもの費用貢献を実施、ただし平和憲法の制約のもとで軍事支援(boots on the ground、兵を派遣し血を流すこと)はできなかった。クウェートは各国への感謝の大広告を掲載したが、数十か国の感謝国の中に日本の名は無かった。

対日批判は著しい円高をもたらした。図表5は主要国通貨が購買力(PPP)からいかにかい離しているかのグラフだが、1985年から2000年までの15年間の円の異常なかい離が顕著である。近隣破壊的な競争力の強さは、異常な円高により日本経済と企業経営を著しい困難に陥れた。「企業努力の成果⇒競争力向上・世界シェア上昇⇒円高と貿易摩擦による利益の減少」という、努力が報われない困難な時代が続いた。

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