なぜ米国長期金利の急低下が株高ドル高要因なのか

低金利のより本質的要因は資本生産性の向上
金利低下は資金需給が緩慢、つまり資本の「slack(余剰)」が存在していることを示唆している。需要不足および供給過多の双方である、なぜ「slack(余剰)」が問題になるほど増加してきたのか。その原因は企業における資本と労働生産性の上昇にあると考えられる。IT、スマートフォン、クラウドコンピューティングなどの新産業革命は、クーローバリゼーションを巻き込み、空前の生産性向上をもたらし、資本投入、労働投入の必要量が著しく低下している。それは直ちに企業収益の顕著な増加をもたらすと同時に「slack(余剰)」を生んでいるのである。

IT技術の進歩によって機械価格は急激に低下した。またグローバリゼーションの恩恵により新興国での工場建設コスト大きく低下している。ビジネスに必要な資本投入額は大きく圧縮できるようになっている。米国も日本においても企業は減価償却額をすべて再投資する必要がなくなって久しい。図表5は米国企業部門の資金余剰(設備投資を上回るキャッシュフロー=余剰資金)の推移であるが、2000年代に入り、ことに2008年のリーマン・ショック以降、著しい資金余剰状態が定着していることが分かる。アップル、グーグルなどのリーディングIT企業は巨額の資本余剰を抱えることが常態化している。この高利潤と資金余剰の併存は、図表6の米国企業(S&P500構成銘柄)のROE(株主資本利益率)と長期金利のかい離に顕著に表れている。米国長期金利の低下を利潤率(企業の稼ぐ力)の低下と解釈する俗論があるが、現実は高利潤故に資金余剰が高まり長期金利を低下せしめていると言える。

★図表5-6

この利潤率と利子率のかい離、つまり稼ぐ力が強いのに資金が余り金利が低下する現象が、2000年代に入り顕著になっていることは、図表7米国企業の利潤率と利子率推移、図表8の米国名目GDPと長短金利からも明らかである。2005年グリーンスパン元FRB議長は好景気かつ金融引き締めの下でも長期金利が低迷していた事態を「謎(conundrum)」と評したが、それがリーマン・ショック以降も続いているのである。バーナンキ前FRB議長は2005年にその原因を世界的貯蓄過剰(global saving glut)と述べたが、今になって考えるとそれは一般的な貯蓄余剰ではなく、企業部門の余剰であったことがほぼ明らかなのではないか。

このように考えると長期金利の低下を「企業の稼ぐ力の低下、資本主義経済の頽廃の表れ」とみる一部の悲観論者の議論が180度の誤りであることが分かる。

★図表7-8

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