日本株が反発に転ずる理由 ②~消費税増税の吸収順調、デフレ脱却の公算大~

(2) 日本デフレの特殊性、賃金とサービス価格下落に転機

言うまでもなくデフレは日本経済を著しく傷めつけたが、殊に二つのセクターが打撃をうけた。デフレは労働者への所得配分、サービス産業に対する所得・資源配分を大きく引き下げ、需要を抑制し続けたのである。デフレが終焉すればその歪みが是正され、需要が大きく増加すると期待される。

賃金上昇を可能にする環境整う
図表7は2000年以降の物的生産性(就業者一人当たりの実質GDP)、付加価値生産性(一人当たりの名目GDP)、一人当たり名目賃金(雇用者報酬)の推移であるが、物価下落により生産性が高まったにもかかわらず名目経済規模は縮小し、労働者の取り分は縮小したパイの中でさらに小さくなったことが分かる。生産性上昇の成果が労働者に配分されず、家計の消費能力が不当に奪われてきたのである。

不当に奪われてきた労働者の消費力
図表8は賃金、物価、生産性の日本における歴史的推移、およびそれの国際比較を見たものであるが、デフレに陥った1997年以降の日本の異常性が顕著である。過去(1997年以前)の日本も諸外国も、賃金上昇>物価上昇(つまり生活水準向上)、賃金>生産性の伸び(つまり単位労働コスト上昇)が普通なのに、1997年以降の日本はそれが逆になったのである。1997年以降の日本においても、労働生産性は上昇していた。それにもかかわらず、物価が下落し賃金がそれ以上に低下したのは何故か。二つの企業行動がその理由として考えられる。第一は売価下落に対応し、コスト引き下げの必要性が高まり賃金が引き下げられたということ、つまり売価下落に単位労働コスト引き下げで対応したということである。売価下落の引き金になったのは超円高による輸出価格の下落と国内の不動産価格下落など資産デフレであり、そこからデフレと賃下げの悪循環が起こった、と考えられよう。

リスクにおびえた企業は社内留保を優先
第二の理由は企業が労働分配率を低下させ資本の取り分を増やし続けたことである。その結果企業収益は回復し企業の巨額の資金余剰(フリーキャッシュフローと現預金保有額)をもたらした。企業部門が巨額の過剰貯蓄を抱えたのである。それには二つの原因が考えられる。①世界的金融危機が続くとの予想、円高が続くとの予想など、悲観的将来予想の下で、予想損失のクッションを必要としたこと、②デフレにより労働者の生活コストが低下したので、賃金を引き上げる必要性を感じなったこと、である。

企業は利益の社外流出加速へ
以上の賃金引き下げをもたらした事情は大きく転換している。日銀の量的金融緩和は少なくとも円高が再燃する、不動産下落が再燃するとの予想の一掃に成功している。また世界経済の回復、米欧金融危機の克服もあり、企業は過剰の貯蓄クッションを必要としなくなっている。つまり過去の稼いだ分を配当や自社株買いに加えて賃上げで社外流出させる条件が整いつつあると言える。安倍首相の賃上げ呼び掛けに企業が積極的にこたえられる条件が備わっていたと考えられる。そして企業収益の過去最高記録の更新が続くという予想から、賃金引上げ条件には持続性もあるといえる。図表3賞与支給月数と企業利益率をみると、2000年代に入って以降、以前は利益率に連動していた賞与支給月数が、利益率回復にもかかわらず低迷を続けていたことが顕著であるが、再度高水準利益率に収斂して賞与支給月数が増加していくと予想される。

★図表7

★図表8

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 日本株が反発に転ずる理由 ②~消費税増税の吸収順調、デフレ脱却の公算大~