第9回 エクセルで最適fを計算する

第7回でご紹介しましたように、トレーダー達は、「利益の山」をなるべく高いところまで登ろうとします。しかし「利益の山」はツルツルの氷の山です。すこしでも気を抜くと、「損失の谷」へ落ちます。トレーダー達は少し登ると滑り落ち、また少し登ると滑るということを繰り返します。その動きを図では緑色の線で表現しました。その毎回の登ったり落ちたりを計算したのがHPRです。そして、最終的に行き着いたところまでの距離である赤い線がTWRです。

完全(100%)再投資・損失の場合、あまり大きく落ちると挽回できなくなります。それでは危険なので「完全再投資」と「再投資なし」の間の「ある一定割合の」再投資・損失を行う、それが命綱としてのfの発想でした。

fという命綱があまりにも長くてゆるゆるだと、下に落ちた時に命綱の役割を果たさずに即死してしまいます。しかし逆に安全ばかり考えて、あまりにも短いと窮屈になります。すこし登るごとに命綱を再び打ち込まないといけなくなり、かえって前にすすめなくなるからです。図は、この長めの命綱(大きいf)をした場合の上り下りと、短めの命綱(小さいf)をした場合の上り下りの例です。

さて、最適fはこの「丁度良い」バランスの命綱の長さでした。どうしてそれが「丁度良い」のかと言うと、スプレッドシートにトレードのデーター(黄色い箇所)を入力し、あらゆるfの値における上り下りを計算し、結果的に一番高くまで行けたfを選んでいるからです。つまり最初から最適なものだけを計算しているのではなく、全てのパターンを計算し、一番良かったものを事後的に選んでいるのです。

コンピューターの素晴らしさは、各トレーダーの登るスピードと、落ちる頻度やあらゆる命綱の長さを全部計算してくれて、最も安全かつ早く高いところまで登れる長さの命綱を瞬時に教えてくれることです。

スプレッドシートの24行目(オレンジの行)では、全ての長さのロープ(f)に対応する最終的に登った距離を計算しています。スタート地点は1です。その中から結果的(事後的)に一番右の高いところに行けたfを選ぶことになります。結果的に資産が3.247倍になったf(0.25)が最適fとなったわけです。

以上がコンピューターにやってもらったことです。自分で計算するとなると、気が遠くなるような計算も、コンピューターはあっというまにやってくれます。それを最大限に利用した最適fの見つけ方です。

最適fを得たら前回同様サイフの式に代入し、サイフを計算します。次回は、この作業を相場に適用してもう一回詳しく見てみましょう。なお、今回の例も分かり易さを優先してペイオフ比率が固定している(+20万、-10万)という収益パターンをスプレッドシートに入れてみました。しかしもちろんスプレッドシートにはペイオフ比率が固定していないバラバラの収益パターンを入れることが出来るようになっています。次回は正にそれを行い相場に応用しますが、それまでの間、皆様是非も自分のトレード記録をスプレッドシートに入力してグライダーで遊んでみて下さい。

資産残高推移グラフを作る

最適fを計算する上では直接は必要ありませんが、あると便利なのが、資産残高がどう推移していくかを一目で確認出来るグラフです。このグラフは、今作ったばかりの最適fを計算するシートのすぐ右側に作ります。最終的にはこの様な形になります。

★図7

作り方としては、まず列Tを全て列Vにコピーします。

そしてセルV2にある、0.95を0.25と変えましょう。すると、下の方のV24(オレンジ)のセルが3.247になるのを確認してください。

次に、セルW3に1と入れてください。

そのすぐ下の(緑の)セルW4に

=V4*W3

と入れます。1.5になりましたか?なったらW4のセルをW5からW23までコピーしてください。W23も3.247になったらオッケーです。

次にセルX2にスタートの時の資金(つまり金庫)をいれます。ここでは例として20,000をいれました。セルX3に

=W3*$X$2

といれます。そしてセルX3をその下のX4からX23までコピーします。HPR,TWR,残高という文字は分かりやすくするためにいれているだけですので、各自工夫してみて下さい。列Vで毎回のHPRが、列Wでその回までの(累積の)TWRが、そして列Xには、累積の残高(金庫)が出てきます。グラフを描くには、列XのX3からX23までのグラフを描きます。するとこんな感じのグラフになります。f=0.25の時で、スタートの残高が2万円の時の資産の増加が一目でわかるので便利です(あるいは後で色々なfで実験してみることもおすすめします)。

★図8

(おまけ)数式を知りたい方へ

スプレッドシートのもとになった式は、下の二つです。毎回の上り下りを計算するのが保有期間収益率(HPR)の式で、最終的にどれだけ高く登れたかを計算するのが最終資産比率(TWR)です。

保有期間収益率(Holding Period Return)

数式

最終資産比率 (Terminal Wealth Relative)

数式

幾何平均を計算したときを思い出してみましょう。「各期間で何倍になったか?」の積を取り、その冪根(例えば10乗根)を取ることで得られました。HPRはそれぞれのfを使い毎回の何倍になったか?を計算し、TWRはそのHPRの積をとったものなのです。

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