日銀はQQE2の準備を~日銀に呼応してリスクテイクに参戦した長期投資家を失望させるな~

日銀の存在証明、ネガティブ・フィードバックを未然に止めよ

白川日銀体制が2011年、2012年の円高株安を世界危機だから仕方がない、と容認したことが誤りであったように、現在の投機売り筋の跳梁が勢いを増す前に早期に抑止することが肝要である。日本市場が短期トレーディングのおもちゃになっている荒廃した日本株式市場はますます長期投資家を市場から遠ざけ、市場の乱高下と長期衰退を引き起すだろう。市場に安定をもたらす勢力がいなければ、そこは中央銀行の出番である。リーマン・ショック以降のFRB、BOE、ECBなどのQE(量的金融緩和)とは、リスクテイカーが皆無となったと市場に唯一のリスクテイカーとして参入し、市場価格を引き上げ(リスクプレミアムを引き下げ)、アニマルスピリットを復元したことにあった。

日本株式のバリュエーションがいかに割安であっても、当分是正されないと多くの投資家が考え日本株を売れば、日本株式の昨年からの上昇トレンドは完全に終わってしまう。株式益回り7%、配当利回り2%、10年日本国債利回り0.7%、預金金利0.04%と言うリターンの格差は日本株式がばかげているほど割安であることを明示しているが、株式の本質的価値が直ちに実現されるとは限らない。

それどころかこの突出した日本株安を「アベノミクス失敗の証拠」とする主張も蔓延し始めた。増税開始を控え、株安にも影響されて年明けの景気ウォッチャー調査(街角景況感)の先行き指数は3か月連続で悪化している。株安・円高→日銀のデフレ脱却シナリオ不信→リスク回避心理の増長・アニマルスピリットの衰弱というネガティブ・フィードバックが作用する可能性は排除できないと思われる。

仮に中国経済の変調などによって世界経済が悪化したとしても、黒田日銀にとってそれはデフレ脱却を果たせない事の言い訳に認められないのではないか。どのような環境の下でもデフレ脱却を推進することは至上命令である。とすれば、世界経済が困難に陥れば陥るほど日銀の金融緩和に荷重がかかる。倍返し、三倍返しの緩和が必要である。

リスクアバーターを威圧し続けたFRBに学べ

量的金融緩和とは資産価格に影響を与えることで、物価や雇用に影響を及ぼす政策体系である。故に、中央銀行は市場価格に影響を与え続け、市場を畏怖しなくては、政策目的は達成できない。デフレ脱却大作戦を遂行中の日銀は、FRBバーナンキ議長、ECBドラギ総裁のリスクアバーターを威圧し続けた経験を学ぶべきであろう。

FRBはリーマン・ショック以降3回のQE実施してきたが、そのすべてが資産価格への影響力の行使であった。図表3に見るように、QE1(2008年11月~2010年6月)では実態以上に売りたたかれていたMBSなどリスク資産を購入・信用供与し、市場価格を大きく立て直し、住宅ローン金利を大きく押し下げた。QE2(2010年11月~2011年6月)では、欧州危機深化の過程で欧州投資家のリパトリ(国内の資金ひっ迫に伴うドル=米国債の換金売り)が勃発し米国では金利上昇とリスクプレミアムの上昇が起こったことに対応し、米国国債を6000億ドル購入し、金利・リスクプレミアムを大きく引き下げ、アニマルスピリットを鼓舞し続けた。長期金利は3.5%から一気に2%まで低下したが、この金利低下は債券保有者に膨大な値上がり益をもたらし、リスクテイク意欲を鼓舞した。更に国債の値上がりは株式の相対的割安さを際立たせ(=株式リスクプレミアムを押し上げ)、投資家を株式購入へと導いた。さらにQE3(2012年9月~)では、MBSと国債を購入し続け、投資家のポートフォリオリバランスを通して、リスク資産投資を促している。

またECBドラギ総裁は、2012年売り叩かれていた南欧諸国国債を無制限に買い向かうとのスキームOMTを打ち出し、売り方を退散させたことも、思い起こされたい。

★図表3-4

なおQEによる中央銀行の闘いの展開に関しては、弊社の過去の下記レポートを参照されたい。

ストラテジー・ブレティン78号(2012年9月10日)
QE2、SM2で大転換する金融市場 ~進化する世界の中銀、取り残される日銀~

ストラテジー・ブレティン79号(2012年9月20日)
「ブラックスワン」対中央銀行、見劣りする日銀

ストラテジー・ブレティン93号(2013年2月27日)
懐疑論を粉砕するQEの威力

ストラテジー・ブレティン96号(2013年4月5日)
悲観論・懐疑論対中央銀行の闘い

1 2

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 日銀はQQE2の準備を~日銀に呼応してリスクテイクに参戦した長期投資家を失望させるな~