市場の懸念は米中の需要不足~SECによるBig 4中国会計監査業務禁止の帰趨には要注意~

シラー氏の警告
シラー氏はこのままなら株はバブル化すると警告する。金融政策だけでは、創造される需要は2000年代の住宅バブルのように、一過性のものになってしまう可能性はある。シラー氏はCAPE(cyclically adjusted price/earnings multiple:景気変動を平準化した株価収益倍率)で計算すると、現在は25倍まで上昇しており、それは2007年のリーマン・ショック前の株価ピーク時、また1996年当時のグリーンスパンFRB議長が irrational exuberance(根拠なき熱狂)と指摘した時と同じ水準である、とする。シラー説に依拠して、1月6日付FT(ファイナンシャル・タイムズ)紙は、大恐慌以来の株価ピーク時の平均値は21倍であるので、これ以上の株高は不健康である、という社説を掲載した。ITバブルのピーク時にはCAPEは44倍まで上昇したという前例から、QEの縮小が開始されたとはいえ、超金融緩和の下での潤沢で安価な資金が蔓延しており、更なる株高の可能性は高い。しかし当局はそのリスクに備え準備するべきだ、と主張している。

★図表4-5

米国ではイエレンFRB議長の就任を前にQEの緩和縮小に進み始めた。市場ではその手綱さばきを見極めつつ、財政や税制、制度改革などを総動員した有効な政策の枠組みを求め始めているのではないだろうか。

実質ダウ指数が示唆するもの
図表1はダウ実質株価の長期推移であるが、昨年末ダウ工業株指数は実質値においても史上最高値を更新した。この新高値更新を新たな繁栄のレジームとは考えられないだろうか。と言うのも、この実質株価を鳥瞰すると、それは以下のごとく米国経済レジームの盛衰とともに変動してきたからである。

① 1929年までの上昇 ⇒ 古典的自由主義経済(金本位制)の繁栄
② 1900~1940年代の恐慌・大戦下の下落 ⇒ 古典的自由主義経済の挫折
③ 1940年代末~1960年代末 ⇒ ケインズ体制(管理通貨・財政政策)の繁栄
④ 1980年代~1999年まで ⇒ 新自由主義経済(ペーパードル本位制レーガン・サッチャー主義)の繁栄
⑤ 2000~2013年まで ⇒ 新自由主義の挫折(ITバブル、住宅バブルの崩壊)

さて、新自由主義のあとの困難から脱却する新レジームとは何か。結論を先走りすれば、それは新ケインズ主義による繁栄になると、考えられないだろうか。市場の期待に働きかける量的金融緩和がその一つ、更には国境をまたいだ創造的財政政策などのマクロ政策の総動員が求められる。サマーズ氏の指摘はまさしくそれではないか。

(2)データ不信顕在化、危機深化に向かう中国

俎上に上った中国企業会計
そうした中、米証券取引委員会(SEC)の審判官が、中国企業の会計監査をしているビッグ4と呼ばれる国際会計監査法人の中国現地法人に対し、半年間の業務停止を命じた。これは、中国の監査法人が、米国に上場している中国企業の照会データを、米SECに対して提出することを拒否したからである。中国の会計そのものの信ぴょう性や企業統治のあり方等が、米国当局によって疑われ、問題とされている。中国の企業会計をつぶさに検証すれば、場合によっては会計上の様々な欺瞞や株主利益を阻害する不正などが露呈される可能性もある。FT紙によると、米国で上場している中国企業のPERは18倍と言われているが、これはかなり高い倍率である。海外における中国上場企業の市場時価総額は、8,700億ドル(約90兆円)で、そのうち4,640億ドル(約50兆円)が米国で上場されていると言われている。が、中国の会計の信頼性や企業財務に対する信頼性の欠如が問題となったことにより、資金調達や時価総額に大きな支障が出てくる可能性もある。中国企業がSECの認める代替の監査法人を探せなければ、米国市場上場の停止に追い込まれるかもしれない。それは大きな金融ショックをもたらす可能性がある。

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