欧州投資家との問答

2. 日本で4月に2~3%レベルの賃金上昇は期待できるだろうか?

武者の答えは、可能である。最大の理由は、企業は十分に儲かっていて、賃金支払い能力があるからだ。さらに、支払い能力がある上に、企業は賃金を上げる義務を感じている。日本の賃金決定の特徴の一つが、生活保障である。それはかねて議論しているように、米国の賃金決定の主因が成果の配分ということと大きく異なる。よって、これまで日本はデフレで労働者の生活コストが低下していたので、企業がいくら儲かっても賃金を上げる必要性を感じなかった。しかし、実際に物価が上がってきた今、企業経営者は労働者の生活を保障するためには賃金を引き上げなければいけないという義務を感じるはずである。この4月から消費税増税を相殺しうるのに相当な賃金上昇が起こるのは確実だと思う。輸入物価の上昇、地価の上昇、賃金の上昇が起これば、賃金上昇と物価上昇の好循環が起こり、この物価上昇が更なる企業収益の増加に結びつくということが実現するはず。よって、非常に高い確率で日本はデフレ脱却が可能だ、と武者は説明し、多くの投資家は納得したように思われる。

zuhyo4-5

3. 円安が本当に続くのか?

という質問に対しての武者の答えは、長期にわたって続く可能性が高い、である。現在日本の為替を巡る状況は、かつてないほど円安の方向を示している。武者によると、円安の為の以下の5つの条件が揃っていることはかつてなかったことだという。

① 中央銀行の姿勢:日銀は、世界の中央銀行のなかで最もハト派的であり、一番通貨安になりやすい政策をとっている。
② 10兆円を超える貿易赤字:このような貿易赤字は30年ぶりのことで、大幅な実需のドル買いを引き起こす。一部に貿易は赤字だが所得収支などの黒字があり経常収支は引き続き黒字だ、という見方もある。確かにその通りだが、貿易赤字は直ちに決済しなければならないので直ちに為替需給に影響する。一方、所得収支などは実際に決済をする必要はないので、直ちにドルの需給に影響を及ぼすということは起こりにくい。実需を考えるにあたっては、貿易収支を見なければいけなく、貿易収支の大幅な赤字は大幅な円安要因になる。
③ 日本の大幅なマイナスの長期実質金利:現在、実質金利がマイナスなのは世界の主要国の中で日本だけである。デフレで実質金利が高く、そのため更なる円高という悪循環が起こっていたわけだが、今やそこから脱却し、日本の長期実質金利は現在、世界最低になっている。
④ 日本の投資家による海外投資の増加:長期円安傾向を前に大量に資金を持っている企業が、海外の企業を買収するチャンスが増え、個人・機関投資家が外貨建て資産を大きく増やす局面にきている。円高デフレは終わり円安インフレとなり、リスク資産を多く保有するべきだというのがコンセンサスになりつつある。そのようなコンセンサスの中で、日本人の投資家が選択する資産としては、株式よりもまず外貨建て資産があげられる。外貨建て資産は、金利差及び円安メリットも享受できることからだ。実際今年から始まったNISA申請者の投資対象資産の多くは株式ではなくてむしろ外貨建ての資産であると言われている。やはりまずリスクテイクをするのであれば株よりも外貨建て資産というのが日本人に定着した姿勢だと思う。と言うことは、ここから家計、年金・保険も含め、日本の多くの投資家が一斉に外貨建て資産を積み上げるという場面に入っていき、日本から大幅な資金アウトフローが予想される。
⑤ 地政学:覇権国である米が円安を容認し日本のデフレ脱却を支援するスタンスを維持している。
このような、かつてないほどの5つの円安条件により、若干の反発があったとしても、テクニカル的な反発は短期で終わり、むしろベースラインにおける円安が長期にわたって推進される可能性が濃厚である。円に対してあまり悲観的になるべきではない。

zuhyo6-7

zuhyo8-9

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 欧州投資家との問答