チャイナ・プラスワン競争‐ベトナムの競争力を問う‐

6、結び

 国際貿易統計を分析すると、ベトナムはまだ発展の緒に就いたばかりで、産業集積度の低さが類推できるが、産業の成長率は比較的に高く、徐々に発展している姿が窺われる。

 日本からの対ベトナム直接投資を見ると、従来、製造業分野は少なく、タイの製造業分野への直接投資に比べ見劣りしていたが、近年は増加傾向にある。最近3年間で比較すると、製造業分野への日本企業の直接投資は、ベトナム1,176億円(年平均)、タイ2,534億円、インドネシア1,695億円となり、対ベトナム直接投資も大きな遜色はない(表10)。

 しかし、機械産業の直接投資導入は、タイ1,481億円、インドネシア961億円、これに対し、ベトナムは558億円で水をあけられている。特に輸送機械の分野で直接投資が少ない(タイ814億円、インドネシア761億円、ベトナム161億円)。これは、ベトナムの自動車市場への成長期待が小さいからであろう。国内の自動車産業に対する保護育成政策(60%の高関税等)の存在、加えて、自動車市場が大きくなるような条件整備政策を積極的にとっていないことが、外資の直接投資の阻害要因になっているのではないか(注)。

(注)ベトナムは、自動車市場が大きくなれない政策がある。国内企業の保護政策としての高関税(60%)のほか、登録税(10~20%)が高く、購入が抑制されている。加えて、バイク洪水の街に自動車が普及したらパニックになるということで、駐車場もほとんどない。都市交通インフラが未整備である。ベトナムの国内市場が大きくなる展望がない限り、外資はタイやインドネシアで車を造り、ベトナムは輸入市場になろう。

表10 日本企業の対アジア直接投資(国別・業種別)
   〈2011~13年3年平均〉(単位:億円)
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 東アジア諸国では、直接投資の受入れが経済発展のメカニズムを創ってきた。“直接投資プラス輸出”が、東アジアの経済発展メカニズムである。ベトナムは外資が積極的になるような条件整備を行わないと、この発展メカニズムと矛盾する。2015年、ASEAN諸国は市場統合に向かう。国境が撤廃されれば、外資を積極的に受け入れているインドネシアやタイの自動車産業との競争に敗れることにならないか。ベトナムの自動車産業は“輸入産業”に転じる懸念もある。

 機械産業は成長分野である。育成政策が大切であるが、「保護」では競争力は育たない。保護ではなく、規制緩和が必要だ。方法論が問われている。ベトナムの持続的経済発展のためには、産業政策の転換が必要なのではないか。

(参考)
叶芳和「ベトナムの変化と日本外交の効果」Webみんかぶ2013年11月5日掲載。
叶芳和「ベトナム訪問記」Webみんかぶ2013年12月9日掲載。

付表1 各国の比較優位構造(日本市場から見た)
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