「桐一葉」から歴史的転換点を考える

(2) 見え始めた世界資本主義の新たな繁栄

拡大・深化する世界資本主義
世界資本主義市場は、①市場の外延的拡大(市場が支配する領域の拡大、人口の増加)、と内包的深化(中食・外食、介護、保育等の家事労働の市場経済化やネット関連など新規サービスの発生)の両面から一段と発達しつつある。

米国株、ドイツ株式が最高値の更新を続けていることこそが、そうした長期繁栄を織り込むでいると考えられる。それはリーマン・ショック後の危機の時代を終え、世界経済が米独日など先進国主導の新たな繁栄の時代に入っている可能性を示唆する。米国株の史上最高値更新はめったに起きることではない。1930年代の大恐慌以降で長期停滞の後に新高値を更新したのは1954年、1982年の2回しかない。そしてそれらはその後の経済繁栄の先駆けであった。今回2013年3月の3回目の史上最高値更新も同様の可能性が高いと考えられる。

「21世紀の産業革命」の衝撃
色眼鏡を外してみれば、今は歴史上でもまれな繁栄の時代と言える。グローバリゼーションとインターネット、さらにはクラウド・コンピューティングやスマートフォンなどによる「21世紀の産業革命」が起こり、企業の生産性向上やコスト削減が劇的に進展している。人々の生活スタイルも生活水準も大きく変化している。これが世界的な企業収益の顕著な向上をもたらし、株価上昇をもたらしている。つまり、現在の世界的な株価上昇は、バブルやマネーゲームではなく、極めて堅固な企業実態に根ざしていると言える。

企業収益の向上は生産性の上昇による労働投入の節約 ⇒ 企業の労働分配率の大幅な低下によってもたらされた。しかしそれは失業の増加をもたらすので、新たな需要=雇用創造が起きるまで経済はしばらくパッとしない状態である。他方で、生産性の上昇は資本投入の節約をも可能にした。つまり設備コストの劇的低下によって、資金余剰が空前の水準にまで高まり、それが歴史的長期金利の低下をもたらしている。このように見てくると、「生産性の上昇=労働力余剰=資本余剰」がリーマン・ショックの前も後も、2000年に入ってからの米国を支配している基本構造と考えられる。

QE=株高は需要創造に必須
図表3に見るように、「21世紀の産業革命」により米国では情報産業と製造業で顕著な雇用減少が始まったにもかかわらず(また図表4に見るように資本の余剰が顕著になったにもかかわらず)、リーマン・ショック前まではこの余剰資本、余剰労働力が住宅部門に吸収されバブルが形成され人余り、金余りは表面化しなかった。しかし住宅バブルの破綻により一時的に住宅に吸収されていた余剰労働力と余剰資本が吐き出され、戦後最大の不況が起きた、と考えられる。この表面化した余剰労働力と余剰資本(いずれも生産性上昇の成果)が放置されたままなら経済は崩壊する、それを需要創造(=新たな価値創造)で活用できれば経済は発展する。リーマン・ショック直後はどのような政策が選択されるかによって歴史の方向が変わる、決定的瞬間であった。そして幸運にもバーナンキ議長率いる米国の政策においては、辛抱強く需要創造を喚起する方向が打ち出され、市場は急速に安定化したのである。QE=量的金融緩和とは、そのような政策体系の中核であった。

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米国株式の新高値更新とは、「21世紀の産業革命」の進行と、それに対応する適切な政策、つまり「需要創造政策としてのQE=量的金融緩和」によってもたらされたといえる。

金価格の高騰と急落は繁栄の前兆
株価の史上最高値更新とともに、「桐一葉」とみられる現象が起きている。それは金価格の急上昇と急落である。金価格の上昇は過去100年間でたった3回(①1933年 ②1980年 ③2011年)しか起きていない。金価格の歴史を検証すると以下の3点の仮説(因果関連=法則性)が成り立つと考えられる。①金価格は金融経済危機の下で新通貨レジームが登場し、通貨供給量(期待)が高まった時に上昇してきた。今回もQEを催促する形で金価格の急騰が続いた。②金価格の上昇は、危機深化の過程で投資回避姿勢が極端になった時に、購買力が一時的に金に滞留したことによっておこった。しかし新通貨レジームの信頼が高まり将来展望が明るくなると、金に滞留していた購買力は先ず高リスク金融資産に、次いで投資・消費へと移転し、金価格は急落過程に入る。つまり金価格下落は、持続成長軌道が確立されつつあることの傍証と言える。③株価は危機が深化し新金融レジームが定着するまで不振(暴落と停滞)が続いてきた。つまり金価格が上昇している間は株価は低迷していた。しかし新金融レジームが機能するようになると購買力の金から株への移転が起こり、長期株高が開始された。

以上3点において、1982年と2013年との類似性が指摘される。図表2に見るように、①2年前ピークアウトした金価格が急落を開始、②株価が長期低迷の後史上最高値を更新、である。1982年はまさにNYダウ工業株が1,000ドル台から1万ドルへと上昇する入口にあった。今回もそうなるであろうか、可能性は十分にあると言える。

2014年情勢の二つの基軸
2014年の世界情勢は、2つの基軸を中心に展開されるだろう。①米国株式と金価格変化からうかがわれる米国主導の世界資本主義体制の更なる繁栄、②アジアにおける冷戦の残滓であるマルクス・レーニン主義の衰退と、国連体制の転換という地政学変化の進展、である。

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