心の強さが出せる環境

自ら大きなリスクを背負い続ける男がいる。プロとはいえ、まだ25歳の若者だ。田中の心の強さは言うまでもないことだが、田中は自分の強さを発揮できる職業を選び、上司や仲間にも恵まれたとも言えるだろう。一本気な闘争心を好まない職場も数多いのだ。田中を含め、楽天の選手たちは野球に「エンゲージド」していた。私が相場を「啓蒙」する理由がここにある。

・東北楽天ゴールデンイーグルスがプロ野球日本一

2013年のプロ野球日本シリーズは楽天4勝、巨人3勝で幕を下ろした。優勝が決まった11月3日を反対にすれば、3月11日となることも話題となっているようだ。原発関連は何も進んでいないが、東北復興の1つの象徴となった。

人それぞれスポーツ観戦で感じるところは違うのだろうが、私が最も興味深く思ったところは、第6戦の田中将大投手の160球完投での敗戦と、翌日第7戦の同投手の9回リリーフ登板だった。

日本シリーズ前は投手力が揃った巨人有利ではないかと言われていた。楽天は田中と、則本昂大投手の2枚看板で、第3の投手以下がぐっと落ちるとの評価だったからだ。そういった評価では田中、則本で2勝ずつ上げなければ優勝はできない。第1戦は、先発則本の好投が報われず0対2の敗戦となったので、ますます巨人有利に傾いていた。
参照:2013年度 東北楽天ゴールデンイーグルス 個人投手成績
http://bis.npb.or.jp/2013/stats/idp1_e.html

第2戦は2対1で、楽天田中の順当勝ちだったが、第6戦は2対4で敗戦投手となった。とすれば、前評判での星勘定では楽天は負けていたはずだ。

楽天優勝の立役者は他にもいたのだ。第3戦、第7戦に先発し、失点0で2勝を挙げ、MVPとなった美馬学投手。2勝2敗で迎えた第5戦に先発し、5回を失点0に押さえた辛島航投手だ。第5戦はリリーフした則本が同点に追いつかれ、その後再度勝ち越したので、勝ち投手は則本となったが、辛島は実質1勝の活躍だった。この辺りは勝負事の綾で、蓋を開けてみなければ分からないといったところだ。

しかし、私が特に感動したのは、第6戦の160球完投での敗戦と、翌日第7戦の同投手の9回リリーフ登板だ。どちらも、「田中がどうしても投げたいと言うので」と星野監督は述べていた。それまでも星野監督は「田中は、並の投手でしかなかった私などを超えている」として、シリーズの第1戦登板回避を含め、田中の意向を最大限に尊重していた。

田中は第6戦の前まで、通算30連勝もしていたのだから、世界的にも前例のない大投手であることは疑いがない。しかし、相場も勝負事だと捉える私などが連勝以上に、凄いと感じたのはその敗戦だ。2対4での敗戦だったが、内容はいい当たりを連打されるなど、もっと大差があっていいほど、打ち込まれていた。調子が悪かったのだろうが、160球かけてようやく4失点に抑え込んだという内容だ。勝負を捨てない、最後まで諦めないという姿勢は、30連勝の勝ちに匹敵する価値あるものに見えた。凄いものを見せてもらった思いだった。

そして、翌日第7戦での、連日の登板だ。私は前日同様、テレビ観戦していたが、田中のリリーフ登板に関するアナウンサーの問いに、解説者の工藤公康氏が「私自身にそういった経験はないので、自分が分かる範囲でしか言えないが、プロの先発投手が登板した翌日は身体が動かないものだ。ましてや、160球投げた後に、身体が動くとは思えない」というようなことを言っていたかと思う。そして、「負けない投手ということを考えていたが、心の強さかな。動かないはずの身体を動かせるのは」と述べた。

勝負を捨てない、最後まで諦めない、身体がへばっていても投げ続けられるという気持ちの強さが、これまでの連勝に結び付いていたのだ。そして、その気持ちの強さは、第7戦先発の美馬や、中継ぎで7回、8回を投げた則本にも伝わっていたかと思う。

実のところ、第7戦での田中の登板は「もういい」という思いだった。野球はチームプレーだ。優勝は、田中、則本の活躍はもとより、美馬、辛島など他の投手陣、野手などすべてが一丸となって勝ち取ったものだ。リリーフ陣もいるのだから、3点差の9回は任せて、チームの勝利を強調してもよかった。前日160球投げた田中に投げさせるのは、過剰演出にすら思えたのだ。勝負は勝てる確率の高い選択をするべきかと思った。また、前日の田中に感動していた私は、ここで打たれて、万一優勝を逃すようなことにでもなれば、前日から連敗となり、ヒーローから一転して「台無し」、「悪役」となることも恐れた。

結果は、ランナー2人は出したものの、無得点に抑えた。登板が本人の強い意志であると知って、信じられない思いだった。前日のリベンジだったとしても、そこまでして、自ら大きなリスクを背負い続ける人間など見たことがない。そして、最後の打者を三振に取って、前日を上回る感動を生んだ。気持ちの強さを見せてくれた。大したものだ。凄い男がいたものだ。

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