インテリックス 山本卓也代表取締役社長インタビュー

━━では次に、現在の業績面についてご説明ください。

 東日本大震災以降の市況低迷の影響を受けた時期もありましたが、この苦境の時期を乗り越え、前期(2013年5月期)は業績の転換期となりました。今年の春先からは完全回復基調に転じています。今期(14年5月期)については先日、中間期の業績予想の上方修正を行いましたが、通期では売上高で前期比3.9%増、経常利益で同2.5倍、当期純利益で同2.8倍を見込んでいます。

━━東京オリンピック開催が決定し、不動産市場にも再び世間の注目が集まっていますが、この点はいかがお考えですか?

 2020年に東京オリンピックが開催されますが、多くの人々が期待するように、7年後に向けて、首都圏の不動産市場や住宅市場はますます活性化していくだろうと私も考えています。しかし、それよりも重要なのは今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」でしょう。重点施策は「良質な住宅ストックの供給と不動産流通システムの指針の策定」の項目で、ここでは目標として「中古住宅の流通市場、リフォーム市場を倍増(20兆円)へ」と掲げられています。内訳は中古市場8兆円、リフォーム市場12兆円です。これまでの「新築重視」の住宅政策から「ストック重視」の住宅政策への大転換です。
 住宅を作っては壊す社会から、良いものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う時代がやってくるということです。ということは、当社の役割はこの国策に沿った形で、良質な中古住宅を継続的に供給していくことに他なりません。

━━省エネルギーを実現するパネル工法「エコキューブ」に注力されていますね。

 当社独自のリノベーション新工法が「エコキューブ」です。リノベーションで初めてプレカット工法を採用し、工期の短縮と安定した品質の提供が可能になりました。六面断熱リノベーションによって冷暖房費を45%も軽減することができるとともに、間取りの可変性を確保しました。また、高性能インフラの導入によって長期メンテナンスも可能です。これまで長い間暮らしてきたマンションも、これからずっと暮らしていきたいマンションもさらに快適な空間になることができるでしょう。
 これは豊富なマンションリノベーション経験を持つ当社だからこそ生み出すことができた新工法で、快適性と品質を追求した結果だと考えています。このエコキューブによって当社はマンションリノベーションの総合商社を目指していく方向です。これまでの実績を生かして、自社物件だけでなく、個人や同業他社など当社グループ外からのリノベーション内装工事の受注強化も図っていく方向です。
 従来のオンバランス・ビジネスを基盤にしながら、オフバランス・ビジネスへの事業展開を拡充するということです。オフバランス・ビジネスを強化するということは、当社のエコキューブシステムの対象がかなり大きく拡大するということですから、ビジネスチャンスとビジネスフィールドがますます広がることになるでしょう。

━━最後に全国の投資家の皆さんに向け、事業の抱負についてお話しください。

 中古マンションは土地資源の少ない我が国において、貴重な社会ストックです。しかしながら、中古マンションを一つの住宅供給事業として捉えた場合、商品内容にしても、また法的にも、まだまだ未整備な状況であり、多くのユーザーが安心して選べる環境ではありません。ですから中古市場を本当の意味で活性化させるためにも、この分野の最大手である当社が、業界を牽引する力を持たなければならないと考えます。
 そのためにも「良質な社会ストックの提供=顧客満足度の向上=事業の永続性」という企業理念のもとに、中古マンションの品質向上と、これによる市場の活性化を目指して、今後も邁進していきたいと思います。

《編集後記》
 同社は日本で中古マンションを再生して供給している最大の企業。その供給数は、昨年度の新築マンションランキングに組み込めば8~9位になる。中古マンションをリノベーションすると、部屋の中は新築と一緒だし自分の好みにできる。しかし中古と新築は違ったマーケット。中古は場所や時期が限定されていて「ココしかない、コレでしょ」が最優先される世界だという。
 供給が増えている安定したマーケットとはいえ「リーマンも大変だったが東日本大震災はもっと大変だった」と山本社長。「当社は不動産業を、投機や投資ではなくビジネスとして行っているので、常時買い入れ、常時販売している。値上がりするから買うのではないし、値下がりするから買わないということもない」という言葉が印象に残った。
 同業他社にとっての参入障壁は「目利き」だという。同社は月1200~1300件の物件情報から90~100件の仕入れを行っている。もちろん、買わないという決済もあるので、物件を見分けるという点では相当なノウハウが蓄積されている。このノウハウによって、仮に供給戸数が2000戸になっても、それに見合う適切な仕入れを行うことができるという。
 以前、同社に中古マンションを売却された方が、リノベーションしたその物件を見て「買い戻したい」と言ったことがあったという。それほどの魅力を持つ「リノヴェックスマンション」。現在、不動産のメーンストリームは新築から中古に移行しつつある。ここにマーケットはまだ気が付いていない。ビジネスモデルが地味に感じるかもしれないが、今後、ますます同社の存在感は高まるに違いない。


(櫻井英明)

[ 会社概要 ]
社名:株式会社インテリックス
市場:東証2部
コード:8940
設立年月日:1995年7月17日
上場年月日:2005年4月14日
決算月:5月
 
☆連結業績見込み(2014年5月期)
売上高●268億3200万円
営業利益●12億6800万円
経常利益●8億2700万円
当期純利益●5億800万円
 
☆トピックス
 首都圏を中心に、中古マンションを買い取り、内装や配管などをリノベーションし再生マンションとして販売。独自のパネル工法による、省エネルギー仕様の「エコキューブ」が好評。最長10年間の保証を実現するなど、業界最大手として、今後の成長が期待される中古マンション業界の革新をリードしている。

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