米国債はデフォルトするのか?

・2つの記事の疑問点

(グロース氏)
グロース氏は「米国債がデフォルトに陥ることは万に一つの確率でしかなく、極めて低い」と述べた。米財務省の歳入が月間約3000億ドルであるのに対し、利払いは同約400億─450億ドルであると指摘し、「米財務省がデフォルトに陥る事態を想定することも、もしくはデフォルトに陥る可能性もまずない」と言明したとある。

とすれば、10月17日までに限って言及したのではなく、債券ファンドのマネージャーとして、今後も米国債は安全な投資先であるとの見方を示したことになる。しかも、2016年末に至っても、米短期金利は現状とほぼ同じの低水準に留まり、かつ「今後数十年、政策金利は低水準にとどまることになるだろう」とする一方で、インフレ率も上昇しないとの見方だ。

これほどのデフレ・シナリオ、金融緩和長期継続の見方であれば、資金余剰が続くことは避けられない。私が疑問に思うのは、金融状況のひっ迫とあるが、余った資金はどこに行くのだろうか?

2008年末の米量的緩和以降、主要国の国債、株式、不動産などは大きく値上がりしている。CRB指数に見る商品価格も2009年初めの200ポイント丁度近辺から、2011年4月には370ポイントにまで上昇した。直近は286ポイント辺りまで低下しているが、それでも緩和開始時からは43%上昇している。債券も株も、不動産も商品も値上がりするのは、カネ余りだからだ。見方を変えれば、通貨の価値が下がっただけだ。

今後、数十年も金融緩和が続くとして、これらのものが上がり続けるなかで、インフレ率、つまり消費者物価指数が1%台に留まることができるのだろうか? 仮にあるとして、資産価値が上昇する中で、消費者物価が上がらないとすれば、それはそれで意味のある経済政策かもしれない。

一方で、どんなに長く金融緩和が続き、どれほど多くの資金が供給されても、債券価格は現状レベルからは僅かにしか上がらない。マイナス利回りは、値上がり期待で買うしかなく、長期保有ができないからだ。

それでも極度のデフレ期待が続けば、インフレ指数連動債の今後のリターンが4%に達する可能性は否定できないが、2年国債の利回りで0.33%でしかない、期間が短めの債券のポートフォリオのリターンが、どうすれば4%に達するのだろうか?

リターンを上げるには、信用リスクを大きく取るか、オプションを売るなどマーケットリスクを大きく取るしかない。0.33%を4%に引き上げることは十分に可能だが、それは相場環境とは関係がなく、運用テクニックによるものだと言っていいかと思う。

(デフォルト・シナリオ)
デフォルト・スケジュールについては、私には分からない。上の記事を参考とするまでだ。グロース氏との違いは、同氏が「米財務省の歳入が月間約3000億ドルであるのに対し、利払いは同約400億─450億ドルである」と、歳入額と利払い額を比較して「デフォルトはない」と確信しているのに対して、このシナリオは利払い額を含む歳出全般を扱っている点だ。その意味では、こちらの方が参考とするに値する。

疑問点は、「(デフォルトすれば)米国債投資にはリスクがないという前提が揺らぐ。これまで確実に償還されてきたことから、世界で最も低いレベルに抑えられてきた金利は上昇することがほぼ確実。株式市場は急落し、消費者の財布のひもは固くなり、景気は一段と悪化する。」という見方だ。

米国が仮にデフォルトしたにしても、それはテクニカル・デフォルトで、米国そのものが凋落したわけではない。「嘘ついたら、針千本飲ます」という約束で、結果的な「嘘つき」とはなったが、まさか本当に「針千本を飲む」とは思わなかったようなデフォルトだ。

それでもデフォルトはデフォルトなので、米国債の保有を敬遠するかもしれない。一方で、バーナンキ連銀議長は「財政の崖への対応が行われなかった場合、私がこれまで述べてきたように、われわれのツールは大きな財政の衝撃による影響を相殺するほど十分強力ではないため、そうした事態に備えた対策を検討する必要がある」と述べている。このことで推測されるのは、米国債がデフォルトになっても、連銀の機能が停止することはなく、むしろより強力な量的緩和が行われる可能性すらあるということだ。つまり、カネ余りは続く。あるいは、更に多くのカネが余ることになる。

米国債がデフォルトし、米国債が売られることにより、市場にはキャッシュが溢れることになる。のみならず、米連銀は更にキャッシュを供給する。更に大量のカネ余りが続くのだ。デフォルト・ショックで、一時的には株式の急落はあるだろうが、これほど市場にキャッシュが溢れている状況で、株式市場が下降トレンド入りしたり、消費者の財布のひもが固くなったりするのだろうか? 

米連銀が9月18日に量的緩和の継続を決めた時、市場は予想外だと驚いたが、2週間後に政府機関が閉鎖されて見ると、連銀の行動はリスク管理上、当然の行動だったように思えてくる。

このことは、政府機関の閉鎖が景気後退に結び付くようなことがあると、米連銀の量的緩和はより長く継続されることを示唆している。つまり、雇用市場の目に見えた改善が見られるまでは、カネ余りが続くのだ。テクニカル・デフォルトで米国債の信用が下がっても、株式フレンドリーな環境は変わらない。

そうして見ると、米経済や米株式市場のリスクは、財政の崖や、米国債のデフォルトよりも、連銀次期議長のリーダーシップかもしれない。

1 2 3

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> その他> 米国債はデフォルトするのか?