2013年9月2日時点での主要市場見通し

・日本国内においては、消費税率引き上げについての有識者からのヒアリングが一巡した。このヒアリングは、「引き上げ反対派からも意見は聞いた」との形づくりの感が強く、おそらく今秋に、来年4月からの税率3%幅引き上げが決定されるものと予想している。
・消費税を上げる方が、上げないよりは景気に悪影響を与えるが、曲がりなりにも景気が回復基調にあり、当面大きな国政選挙がないなかで、消費税率引き上げができないとなれば、海外投資家から、日本の財政再建の可能性が、大いに疑問視されるだろう。また、各市場(株式、債券、為替とも)が、2014年4月からの3%引き上げを相当織り込んでいると推察されることから、予定通り引き上げる展開が、最も市場の波乱が少ないシナリオとなるだろう。
・一方、法人税については、全面一律の税率引き下げの観測報道が流れたこともあったが、財政再建の観点からは、そうした法人減税は難しいと考えている。これも既報のように、設備投資等に関連した税制優遇といった形になるだろう。
・という点から、財政政策が、国内経済や株価の大規模な好材料にはなりそうもないが、予定通り手堅く淡々と進む、ということになるだろう。
・日本国内の材料としては、東京が2020年のオリンピック開催地となるかどうかが、話題にはなっている(開催地決定は9/7(土))。ただし一部の識者が述べるような、東京への決定で国内株価が大幅に上昇するとか、東京になるかどうかで国内経済や国内株価の方向性が決定する、といったようなことは全くなく、散発的な株式の個別物色が行なわれるにとどまろう。
・過去のオリンピックと実質経済成長率の関係をみると(図表4)、オリンピックの開催が初めての国、および新興国では、インフラ投資の拡大により、オリンピック開催前年の経済成長率が最も高まる傾向がある(ソウル、シドニー、北京など)。おそらく、2016年のブラジル・リオデジャネイロ五輪の場合も、2015年に向けて景気の押し上げ効果が期待される。

(図表4)

・しかし先進諸国の場合(アトランタ、ロンドンなど)、投資等による明確な景気刺激効果は見出しにくい。加えて、近年では、環境に優しいコンパクトなオリンピック運営が求められていることもあり、既存施設を極力活かす方針が強まっている。東京オリンピックとなれば、おそらく英米の場合に近く、インフラ投資などは(増えることは増えるだろうが)限定的で、日本経済や日本株に実際に与える影響は(プラスではあるが)限られているだろう。

・このように、東京でのオリンピック開催(に、もしなれば)は、経済や市場に大きな影響がないだろう、と見込んでいるわけだが、大規模な好影響が出てほしい、と考える投資家や論者がいるのは、気持ちとしてはよくわかる。今年6月以降の、国内株価や為替等の相場付きは鬱々としていたため、何かぽ~ん、と大きなイベントがあって、そこから一気に晴々しい相場になって欲しい、という気分になるのは当然だ。
・しかし残念ながら、世界の景気(日本を含めて)の持ち直しは、緩やかなものだろう。新興国に対する不透明感も、晴れて行くだろうが、少しずつだろう。また、全ての国の経済情勢や、全ての企業の収益実態が、ことごとく良くなる展開にもなりにくいだろう。経済実態の改善が著しい国、冴えない国、収益が伸びる企業、伸びない企業が、大いに混在するだろう。

・したがって、今後当面の投資のキーワードは、「忍耐と努力」だと考える。投資環境の改善が、一進一退から二進一退、三進一退と歩を進めることを、じっと待つ忍耐と、個々の国の経済や個々の企業実態を、じっくり研究し、投資対象の通貨や株式の個別銘柄を選別する努力が必要だ。

・幸いにして国内経済の動きをみると、「忍耐と努力」が、先行き報われそうになってきている。たとえばこれまでは、雇用関連統計の中で、所定外労働時間(残業時間)(図表5)や一般労働者(正社員等)の雇用の伸び(図表6)が、最近低迷した時期があった(図表の丸印)が、少しずつ明るさがにじみ出ている(※3)。雇用の本格的な持ち直しは、個人消費等の内需の回復要因だ。
・また、外需という点でも、輸出の前年比をみると(図表7)、最近は円で測った輸出金額は、前年比でみた伸びを高めている。しかし数量ベースでは、輸出は前年比マイナスが続いていた(丸印)。これは、数量で見た輸出は低迷していたが、外貨建て輸出金額の円換算値が円安で水膨れしていたため、輸出金額が増えていたに過ぎなかったことを示している。ところが直近では、おそらく海外需要が持ち直してきたため、輸出数量も前年比でプラス圏内に入ってきている。

・今後の投資には「忍耐と努力」が必要だとは述べたが、その忍耐が必要な期間は、極めて長期にはならないだろう、とも考えている。

※3 所定外労働時間と常用雇用指数の2013年7月分の発表は、9/3(火)の予定。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 2013年9月2日時点での主要市場見通し