転機に立つ中国経済~異常投資の清算を迫られる~

第二章 問われている投資主導経済

これまでの中国の成長を一言で表せば、投資主導経済である。中国の経済成長は、2010年の10.4%から、2011年は9.2%、2012年及び2013年第1四半期は7.8%、第2四半期には7.4%へと急減速している。その需要項目別寄与度を見ると、過去10年間、圧倒的に中国経済を引っ張ってきたのが投資である。中国経済牽引車役の約6割を占め、2000年代の前半までは、それに加えて純輸出が大きかった。しかし、ここ数年は、輸出が経済成長牽引車役を降り、投資のみが中国経済を引っ張ってきた。その一方で、消費はGDPを4%強押し上げているにすぎない。したがって、投資が減少すれば経済成長率は一気に4%、もしくはそれ以下の水準にまで落ち込んでしまう。今、この中国の投資が持続可能かどうか、問われている。結論的に言うと、投資の伸びが低下または減少により、成長率は更に下落する可能性が大きい。

主要国の総固定資本形成対名目GDP比率を見ると、中国の投資主導経済が、いかに極端であるかが分かる。7、8年前に中国が4割を超えた時に、いくら何でも高すぎると思われたが、2012年には45.7%へとさらに高まっている。同じ2012年時点で見ても、韓国26.7%、日本21.2%、ドイツ17.6%、米国15.8%にすぎない。中国のGDPのほぼ半分が、固定資本形成で占められている。消費よりも投資需要の規模が大きい状態が続いているのは、他の国の歴史を見ても極めて異常で、ほとんど事例がない。逆に言えば、これが中国の大成長を可能にしたわけだが、問題はそれが何を意味するかである。

★図表6-7

一般常識としての投資の定義は、将来のためにお金を使うことである故に、教育はまさに投資である。しかし、将来のためにお金を使うことであっても、教育は、会計、統計上では、消費に分類される。このように、一般的に考えている投資概念と、会計、統計上の投資概念とは全く異なっている。会計上の投資とは、一言で表せば、費用の資本化、つまり先送りである。例えば、100億円使えば直ちに需要が発生するが何の費用負担も伴わない、というのが投資の意味である。したがって、投資には将来の投下資本の回収義務、償却負担が発生する。投資した設備や不動産などが、本当に果実を生むかどうかが分からない。コストは決まっているものの、果実が不確定なのが投資なのである。このように投資を高めることで急速に成長できる半面、投資を誤れば墓穴を掘りかねないが、今の過剰投資の中国は、まさに、その陥穽にはまっていると云える。

中国と対照的なのが、異常に消費の高い米国経済である。この50年ほど消費のGDP比率が6割から7割へと上昇し続けており、多くの悲観論者は、米国が目先のことだけにお金を使っていると批判している。しかし、それは間違っている。いまや米国は脱工業化した情報化社会であり、投資対象はソフトウエアの開発、知的資産の蓄積、教育などと、大半が頭の中の訓練、人に対する投資である。ところが、これらの教育支出を会計上の投資として計上している国などない。教育すればするほど消費が増える。将来、大きな果実をもたらすに違いない支出であるにもかかわらず、消費に分類され、会計上、費用処理されることとなる。その結果、当然、消費は高まることになる。会計、統計上の投資概念を、我々の常識的な観念で捉えると、大きな過ちを生むことになる。

★図表8
 

第三章 需要に基づかない投資

これまでの中国の投資先は、①国有企業を中心とした鉄鋼、造船、石油化学など重化学工業主体の膨大な設備投資、②高速鉄道や高速道路などの建設に代表される公共投資、③不動産の3大分野であり、いずれも信じがたいほどの過剰投資が積み上がっている。

1970年代から1990年代にわたる30年以上、世界の粗鋼生産は年間8億トンから9億トンの横這い状態だった。それが、2000年頃から急増し始め、直近で15億トンと10年間で5割増となった。その爆発的な粗鋼生産の伸びは全て中国によるものである。10年前には1割に過ぎなかった中国の粗鋼生産シェアが、いまや5割と世界の供給力の半分を中国が占めている。短期間で中国は途方もない供給力を備えてしまった。問題は、この世界の半分の供給力を、十分に吸収できる需要があるかどうかである。すでに国際的な鉄鋼関連市況は、急速に悪化している。今年に入ってからの世界粗鋼生産と中国シェアは完全に横ばいで、まだ減少には転じていないものの、近くピークアウトが明確になってくるのではないか。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 転機に立つ中国経済~異常投資の清算を迫られる~