中国の石炭業界

中国の石炭業界が苦しむ理由

 では、なぜ中国の国内企業がこれほど苦しい業績になっているのでしょうか。答えは国営企業の高コスト体質と過剰生産能力の2点であり、これは2008年に国が取った政策がきっかけとなっています。

 前頁の石炭価格の表の通り、2008年1月では80ドル前後の指数が僅か半年強で160ドルと2倍前後まで急騰しています。当時、石炭の不足は深刻で、全国各地から石炭産出地の山西省まで政府高官が石炭を求めて訪問していました。当時の石炭不足の原因は、政府主導で小規模の炭鉱を閉鎖したり、国営企業などの大手企業に併合させたりしたためと言われています。その後、国営大手企業の利益が急増し、政府税収も急増しました。山西省の状況を見たその他の石炭産出地の地方政府は同様の措置を取り、中国全土で石炭不足となりました。そして、国営大手企業は高収益を求め、更にスピードを加速し増産しました。2009年末の生産量は25億トン前後といわれていましたが、その後毎年平均4億トンの増産が行われました。結果として、石炭需要の最も大きい電力の発電量は伸び続けているものの、それを上回る供給増により、需給バランスが崩れ、価格が下がりはじめました。

 前頁のグラフのとおり、直近価格は下がっているものの、まだ歴史的には高値圏にあります。しかし、石炭業界では国営企業しか残っていません。価格下落に対応する減産は、国営企業が地方政府のバックアップを受けているため、簡単には行えない状況です。また、国営企業の給料は同じ業種でも一般企業の2~3倍程度といわれており、特に2012年までは市況もよかったため、人件費等をさらに引き上げていました。その結果、外資系企業にとってまだまだ利益が出せる価格水準にもかかわらず、国営企業の多くが赤字に転落しています。

 中国は数多くの業種で高コスト体質の国営企業が寡占的なポジションを占めています。地方政府は自らの実績評価基準であるGDPを上げるため、また税収を上げるために、低効率の国営企業の拡大を推進してきました。石炭業界のような事例は、ほかの業種でも起きています。現政権は地方政府の評価基準をGDP中心のものから変更し、民営企業の育成等にもフォーカスしようとしています。そうすると、必然的にGDP成長率は一時的には落ちる傾向がでてきます。

 しかし、中国には圧倒的な人口と低下したとはいえ相対的に高い成長率があり、表面的なことだけでは評価できないことが沢山あることを考えれば、今の中国経済、これからの中国経済は、まだ評価すべき点がいろいろあるのではないかと考えています。

(編集後記)円安が進んでいる一方で、石炭のほか、石油、大豆、銅などさまざまなコモディティの価格は直近下落しています。その結果、円安で輸入コストが上がると考えられてきた日本にとっては、実質輸入コストが据え置きの状態が続いています。つまり、円安のメリットを享受しながら、円安のデメリットである輸入コスト上昇の影響はあまり受けていないといえます。(GDP48)

このページのコンテンツは、スパークス・アセット・マネジメント㈱の協力により、転載いたしております。

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