ポスト・リーマンショック環境の終焉-2-

そして、何よりも買われたのが、主要国の国債だ。ドイツ、フランス、デンマーク、オランダ、スイスなどの国債はマイナス利回りまで買われた。米国債もインフレ・プロテクティッド国債やTビルはマイナス利回りをつけた。マイナス利回りとは、金利ゼロ100で償還する債券を100以上の価格で買うもので、それ以上に値上がりすることなしには損失が確定するという、超高値の極めて投機的なリスク商品だ。それをリスクオフと呼ぶほど、債券価格はバブル化した。

非常に興味深いのは、米のミューチュアルファンドやETFに投資する最終投資家は、この間、債券は買い続けたが、株式は売り続けたことだ。2008年9月のリーマンショック以降、株式ミューチュアルファンドからは資金の流出が続き、2012年10月になってやっと流入に転じた。株式ヘッジファンドに至っては、2013年5月に至ってから流入に転じた。従って、量的緩和以降、株価を押し上げてきた主役は個人投資家やファンドではなく、銀行、年金、企業の自社株買いなどかと思われる。

一方、米国のTビルが先週2013年7月の第1週にも、一時マイナス利回りをつけたように、2013年に入っても主要国の国債は時々マイナス利回りをつけてはいるが、ここにきて、ようやく最終投資家は超高値の債券に興味をなくし始めている。TrimTabsによれば、6月24日までの1カ月間に米債券ファンド、ETFから617億ドルが流出していることが分かった。これまでの最高額は2008年10月の418億ドルだったので、大幅に記録を更新した。528億ドルが債券ミューチュアルファンドから、89億ドルがETFから流出した。6月にはピムコのトータルリターン債券ファンドから、同ファンド26年の歴史で最大となる99億ドルが流出した。また、Casey, Quirk & Associates LLCは、コアな確定利付き商品と米国債に投資するファンドからだけでも、今後1兆ドルが流出すると予測している。

諸外国の中央銀行も米国債を売り始めた。米連銀に預けられている各国公的機関の米国債保有残高が6月26日までの週に324億ドル減少し、2兆9300億ドルとなった。1週間での減少幅は2007年8月につけた最大記録240億ドルを大きく上回った。

日本国債も売られ始めている。都銀の国債保有残高は5月末現在で92兆7876億円と、3月末からの2カ月間で総額15兆1724億円減少した。

・今後のインフレはどこに来る?

大型緩和による通貨の過大供給が生むものは、通貨の相対的な値下りだ。モノやサービスの値段は通貨で測るので、通貨の値下がりは、それらの値上がりを意味する。量的緩和後、消費者物価につながるものはあまり上がらなかったが、債券、株式が史上最高値をつけるなど、資産インフレが発生した。なかでも、主要国の国債はマイナス利回りとなるまで買われ、バブル化した。

2013年5月19日の記者会見で、バーナンキ米連銀議長は近い将来の量的緩和の縮小、終了を明言した。その前提は「景気と雇用市場の下振れリスクがなくなった」ことだ。景気回復を受けた量的緩和の終了が間近だとすれば、歴史的な低利回りの債券をいつまでも保有している意味が見出せない。債券ファンドからの資金流出には意味があるのだ。

連銀が債券購入量の縮小を明言しながらも、終了までに期間を設けたのは、予想される債券の売り物を、しばらくは買い支えると明言したのに等しい。また、当面は超低金利政策は続けるとしたことも、インフレ率が2%以内である間は利上げを急ぐ必要はないことに加え、短期調達・長期運用を行う銀行などへの低利調達を保証し、中長期債を売り急ぐのを抑制するためかと思う。

発言を受けた債券、株式市場が混乱したことで、議長の発言を非難する声もあるが、これだけの大型緩和を突然終了させた場合の予想される惨劇に比べたなら、比較にならない秩序ある調整だったかと思う。市場はマイナス利回りにまで買い上げて、リスクオフなどと嘯く節操のないところだ。しばらくの買い支えや、低金利の維持は必要不可欠かと思う。金融緩和を永遠に続けることはできない。ここまでしても、量的緩和終了時や政策金利引き上げ時に損を出す投資家までは、面倒を見切れないだろう。

ここで、投資家が債券を売り、現金を手にしても、政府が引き締めで資金を吸い上げたり、不景気で所得が減少すれば、その現金も次第に減っていく。信用収縮が起きれば、現金を使うしかない。あるいは、インフレになれば、モノの購入により多くの現金が必要だ。

とはいえ現状では、緩和自体は継続、景気は回復基調、信用収縮も見られず、インフレ懸念は少ない。カネ余り、インフレなき経済成長で、所得増が期待できるところにいる。その所得増がまた経済成長を促すことになる。株式は最高値圏にあるが、これはほとんど誰も損していないことを意味している。そこに投資家は1兆ドルとも予想される債券を売った現金を手にすることになるのだ。

ドイツ2年国債の利回りが初めてマイナスとなった2012年5月末以降、私は債券バブルの崩壊は株高につながると言い続けている。金融緩和が継続していることもあり、債券バブルは必ずしも崩壊していないが、それでも米独の株価は史上最高値を更新した。緩和終了時に、債券価格が高値を維持できている可能性が極めて低いことを鑑みると、上げ下げを繰り返しながらも、今後も株価上昇の可能性は高い。どこまで? 株式にマイナス利回りがあるのなら、そういった超高値も債券では経験済みだ。

ベンチャーキャピタルや新興国市場、商品市場からの資金流出がみられ、リスクマネーに異変が起きているという。とはいえ、本来、資金は臆病だ。臆病だからこそ、リーマンショック以降最近まで株式ファンドから資金が流出し、拠り所のない資金が高リスクに向かっていた。米国の「景気と雇用市場の下振れリスクがなくなった」とすれば、本命への見直し買いが継続することと思う。そして、見直し買いといえば、アンダーウェイトだった日本株も忘れてはいけないと思っている。

・釣り宿の親父

このところの私の仕事は、釣り宿の親父のようなものかと思っている。長年の経験や知識を活かして、空模様や潮流の状態を読み、釣客たちを絶好の釣り場に案内する。そして、釣竿を用意し、何が釣れるかや、釣り方の解説はするが、魚そのものは提供しない。むしろ、自分で釣ることの大切さと、醍醐味とを伝えたいと思っている。自立したプロ並みの釣り人になってもらいたいのだ。

釣りは誰と競争するわけでもないので、釣客にはそれぞれに自分のやり方と、釣果とを楽しんで頂きたい。私は皆さんの喜ぶ顔を見るのが楽しみだ。

私どもの釣り宿の名前は【生き残りディーリング塾】という。コストも、本当の釣り宿よりもむしろ安いので、是非お試し頂きたい。

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