俵のネズミ、米国と中国

さて、このところの中国株の著しい不振は、米国の金融政策の行方もあるものの、中国自身に対する疑念もあるだろう。特に最近話題となっているのは、「シャドーバンキング」だ。この問題は、決して軽視してよいものではなく、横断歩道のない車道に飛び出すと危ないように、楽観は禁物だが、現時点で必ず悲観シナリオに走るとも決めつけにくい。

まず、シャドーバンキングとは、通常の銀行による融資ではないものを指し、いろいろな形態があるが、主に①企業が他企業や地方政府のプロジェクト等に融資する形で、銀行は借り入れ先の紹介や場合によっては元金や利金の回収をし、手数料を取る、②個人が金融商品を購入し、その資金が企業や地方政府に貸し付けられるが、金融機関は信託の形で仲介をするだけ、というものだ。大きな特徴は、貸し倒れが発生すれば、貸し元(企業や個人)がかぶり、金融機関はかぶらない、という点だ。

米国のサブプライム問題の場合は、サブプライムローンが破綻すれば、貸し手の金融機関が損失を受けた。そのためローンは多く証券化され転売されたが、証券化ローンの買い手も金融機関が多かった。したがって、世界有数の金融大国である米国の金融業が傷み、世界で最も規模が大きい米国経済が傷み、世界中を巻き込むこととなった。

中国の場合は、シャドーバンキングが不良債権化しても、中国の銀行が直接打撃を受けるわけではない。そのため、いきなり最悪の事態が生じるとは決めつけられない。最悪の事態に至るには、次のような段階を進んでいくことになる。
①貸し倒れが発生し、いくつかの企業や個人が、財務的に打撃を受ける。→この程度であれば、世界の経済や市場は影響がない。
②貸し倒れが非常に増加し、場合によっては破綻する企業や家計が増え、中国経済が悪化する。→中国向けの輸出減により、他国の経済に悪影響。ただし中国政府として、経済悪化に対して打つ手はある(景気刺激策)。
③中国経済の悪化が深刻化し、通常の銀行の貸出まで不良債権化し、中国の銀行経営に影響が出る。→中国経済の悪化は、②と同様に世界経済にとって悪い要因。銀行経営自体は、中国の金融機関の他国における活動は限定的で、世界の金融・経済には余り影響はない。
④銀行の経営悪化が深刻化し、中国政府が救済に乗り出さざるを得なくなる。その救済の財源として外貨準備を充てることになり、外貨準備で保有している米国国債などの海外資産を売却して現金化する。→世界の経済を経由せず、いきなり世界の市場に悪影響。

シャドーバンキングは実態がわからないだけに、①もほとんど生じないのか、④まで行ってしまうのか、現時点では全く決め打ちができない。②の段階で景気支持策を打つことができるだけに、④にまでは至りにくいと予想するが、絶対に避けられるとも断定できず、今後の様子を見守る必要があるだろう。

(以上)

◇当レポートは、2013年6月25日にストックボイスに出演するため、事前に作成したメモを、レポート化したものです。生放送であるため、放送中にお話した内容とは、違いがあります。もともとが自分自身の手元用メモであることから、レポートとしては説明が十分でない場合があります。

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