アベノミクスで農家倒産の危機-円安は大型酪農を経営破綻させる-

2、農業は〝円高″産業である

 国内資源に依存しないから、規模拡大できた。そして、原料を輸入する限り、“円高”のとき儲かる。1ドル70円台のとき、メガファームはボロ儲けした。逆に、円安になるとコスト上昇に見舞われる。酪農は“円高”産業である。

◇円安に伴うコスト上昇(試算)
 酪農とちぎ農協の試算によると、円安に伴い(1ドル80円から100円の場合)、飼料代は4%~12%上昇する(1ドル80円から120円の場合、11%~28%上昇)。

 表2に示すように、粗飼料の自給度0%農場(例えばギガファーム)の場合、1ドル80円のとき、飼料代(1頭、1日当たり)は1255円であるが、1ドル100円のとき1412円、1ドル120円のとき1612円に上昇する。

 自給度50%のとき、其々1159円、1261円、1400円と上昇。一方、自給度100%のときは、其々1044円、1088円、1164円であり、飼料代の上昇率は小さい。つまり、円安は、輸入依存度の大きいメガファームほど、経営難になる。

表2 円安別・粗飼料自給度別の飼料代(1頭1日当たり)

 円安のとき、一番競争力のあるのは、放牧型など、輸入飼料に依存していない酪農家である。飼料を自給している限り、いくら円安になっても、飼料コストは上昇しない。

3、巨大農場ほど赤字転落

 メガファームは、“規模の利益”が大きい。しかし、円安になると、飼料コストの上昇が大きく、せっかくの規模の利益も相殺され、競争力を失う。

 円安別・規模別の収益動向をモデル化すれば、図1のようになろう(イメージ)。1ドル70円台では、メガファームは本来の規模の利益だけではなく、飼料コスト上も有利である。乳価は規模に関係なく同じであるから、メガファームの利益率は高い。ボロ儲け状態である。これが近年の円高下のメガファーム増殖要因である。

 しかし、1ドル100円台になると、飼料コストの上昇率が大きく、規模の利益(これは円レートに関係なく一定)を足しても、飼料自給型の小規模農場よりコスト高になる。1ドル110円、120円になると、メガファームの利益率(1頭当たり利益)は自給型の小規模農場を下回ることになろう。円安の下では、小規模農場の方が競争力を持つことになる。

図1 円安別・規模別の収益動向モデル

 円レートは日本円の米国ドルに対する相対価格である。黒田日銀総裁は、2014年末までにマネタリーベースを2013年3月末の138兆兆円から270兆円に引き上げると言っている。米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和の縮小を始めるとき、ドルの流通量が相対的に減少すれば、円安が加速するであろう。近い将来、円レートは1ドル110円、あるいはそれ以上の円安の可能性もある。黒田総裁はマネタリーベース倍増政策を少なくとも2年間は続けると言っている。その場合、円安は長期化する。メガファームは経営破綻の危機に直面するのではないか。

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