山高ければ、谷深し

14. 投機とマーケットメイキング

市場は、実需筋と投機筋とで支えています。

実需筋の市場での役割は、トレンドを決定し、市場の存在自体に明確な意義を与えることです。そのほかにも輸出入企業や投資家などの実需筋は、実体経済での役割が大きいので、彼らの存在意義を疑う人はいないでしょう。

一方、市場というシステムを、両輪の片側として支えているはずの投機筋の存在意義は、いまだに多くの弁護の余地を残しているように思えます。私たちの仲間うちですら、自分の仕事を虚業であるとか、博打打ちだとかいい、卑下する連中がいます。ここに一つ、市場から投機筋を一掃すればどうなるのか論じてみましょう。

為替市場を例にすると、市場での取引は、財・サービスの輸出入にからむ実需と、旅行者などの外貨、邦貨の手当、資産の裏付けのある投資とその収益の送金などに限られてしまいます。出来高はいまの数パーセントとなり、売りたい人は買いたい人が現れるまで待ち続けねばなりません。経済規模の小さな国や、経常収支が均衡している国ならば、国家が一時的に相手を勤めて、あまり問題にならないかもしれません。しかし、日本のように貿易が大幅黒字の国では、外貨を売りたい人が行列を作って、買い手を待つことになります。しかも、この行列は日増しに長くなるのです。売り手は、とにかく売ることが先決となり、レベルが100円であろうが、80円であろうが、売った者勝ちという恐ろしい事態が出現するでしょう。国家が買い向かうのにも限度があります。また、売れない市場に、買いを入れる投資家はいません。投資家が最も恐れるのが、流動性の欠如だからです。金利差ゆえの外貨建て投資も、投機筋が流動性を与えてくれているからこそできているのです。

仮に奇数日には実需の買いが上回り、偶数日には実需の売りが上回る市場があるとします。その市場に実需しかいなければ、奇数日には買えない人が事実上のストップ高水準で並び、偶数日には売れない人がストップ安水準で並ぶことになります。これでは、「市場」とは呼べません。

ここで、「儲かりそうなので」と、奇数日には買い手に対しての売りを、偶数日には売り手に対しての買いを出す者が現れたとします。彼は奇数日の夜はショートポジションを保有し、偶数日の夜はロングポジションを保有して、翌日の実需に充てることにより収益を追求します。  彼は、実際にはそのものを必要としていません。買戻し・売戻しを前提とした売買です。狙いは売買差益、キャピタルゲインです。そうです。彼は投機筋であり仮需です。

我々は、彼をディーラーと呼びます。実需相手に値を建てる、彼の行為がマーケットメイキングです。市場は、ディーラーのような投機筋の参入があってはじめて機能します。投機筋が実需筋や投資家の相手を務めているのです。

彼はストップ高のような高値で売り、ストップ安水準で買い戻すので、暴利をむさぼることができます。その儲けを見た他の投機筋がたくさん集まってくると、奇数日の売値が下がり、偶数日の買値が上がり始めます。投機筋が多くなればなるほど、投機筋の利鞘は減りますが、実需筋にとっては、より望ましい価格で売り買いできるようになります。ここで投機筋が市場に与えたのが流動性なのです。投機筋が多く集まると、市場はよりよく機能するといえます。

このように、投機筋の市場における役割は非常に大きいのです。投機筋あっての市場ともいえるでしょう。マーケットメーカー以外の投機筋も、市場に流動性を供給し、安全で安定した市場をつくりあげるという面では、同様の働きをしています。誰かがリスクを取り、踏みこたえることによって、実需の偏りの緩衝材となり、過度の変動を抑えるのです。

また、取ったリスクは、リターンとして報われることになっています。要は自分が取りやすい、管理しやすいリスクを、適量取ることなのです。権利と義務のように、相場の参加者が全員で、自分の好む取りやすいリスクを引き受けると、相場は極めて安定した機能的なものになるでしょう。

市場は、実需筋と投機筋とが両輪となって、支えているのです。
参照:「実践・生き残りのディーリング」
http://aratayaguchi.web.fc2.com/

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