円安のメリット、デメリット

・円安で輸出が回復するか?

円安のメリットとして、日本の製造業の国際競争力の回復がある。とはいえ、円安になっても、必ずしも輸出が回復するとは限らない。下のグラフは、上で参照した日本の貿易収支と、ドル円レートとを繋ぎ合せたものだ。
参照:日本の貿易収支とドル円レート1985年~2012年

グラフで見ると、ドル円レートと輸入金額、輸出金額には相関関係がみられない。貿易収支とも、有意な相関がみられるとはいえない。

円安は輸入価格、輸出価格を共に上昇させる。海外から高く買うが、海外に高く売ることができる。この時、数量がこれまでと同じままなら、輸入金額、輸出金額を共に上昇させることになる。円高の場合は反対だ。つまり、他の要因を加味することなしには、輸入金額と輸出金額の差額である貿易収支が、円安で黒字となったり、円高で赤字となったりすることはない。

グラフでは円安時でも、輸入金額、輸出金額が共に増加する傾向がみられない。同様に円高時に、輸入金額、輸出金額が共に減少する傾向がみられない。このことでは、何らかの理由で輸出入の数量に変化があることが分かる。つまり、為替レートそのものが貿易に影響を与える度合いは、原則的には軽微だとみなしていいかと思う。

そこで、「円安=製造業復活」は幻想だという見方がでてきている。

円安だと輸出価格は上がる。なのに直近の輸出金額が減少してきているのは、輸出数量の減少率が価格の上昇率を上回っているからだ。「これは、日本製品の競争力がなくなってきているためで、円安による輸出回復で景気を刺激するシナリオはすぐには成立しない」というのだ。日本の製造業は既に競争力を失っているので、「輸出産業の衰退は必ずしも悪いことばかりではない」とする識者さえいる。

この小見出しは、「円安のメリットとして、日本の製造業の国際競争力の回復がある」と書き始めた。私は、円安定着は輸出企業の収益改善を通じ、日本経済にプラスとなるとみなしている。

総務省統計局のデータでは、2000年第1四半期の勤労世帯1人当たりの1カ月の実収入は16万9600円、可処分所得は14万2626円だった。これが、2012年第4四半期には実収入が13万9137円、可処分所得が9万9321円と、それぞれ18%、30%も減少する。ところが、ドル円レートが130円から90円になったために、ドル建ての実収入は1305ドルから1546ドルへと18%上昇するのだ。

このことが意味するのは、この期間を通じて、日本企業は雇用調整や人件費削減、あるいは研究開発費や設備投資でのコストカットなどで競争力を失ってきたが、なおドル換算の国際水準ではコスト高が進み、さらに競争力を失ってきたということだ。

このまま円高が続けば、日本人の所得が減り続ける一方で、生産コストは上がり続け、日本経済は致命的ともいえる大打撃を受けていたかもしれない。だからこそ、私は2010年末に書き上げた原稿を、ブログや電子本で発表し、円安誘導を訴えてきた。
参照:ユーロ周辺国と日本の選択肢;北風と太陽
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-11064142653.html
参照:「ユーロと円」日本は円安誘導政策を急げ!
http://honto.jp/ebook/pd_25212367.html

円安トレンドが定着すればどうなるか? 勤労世帯1人当たりの1カ月の実収入がすぐに上がることがないとすれば、ドル建ての実収入が急減することにより、製造業の生産コストが劇的に下がることになる。競争力が回復し、ひいては、個人所得の増大にも結び付くことが可能となってくるのだ。

そうでない場合には、劇的に下がった生産コストを活かして、日本への工場回帰が起きる。雇用の拡大が起きるのだ。所得増か、雇用拡大か、いずれにせよ日本経済のプラスとなるかと思う。

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