第9回 パッシブ運用について

(2)低コストのメリット
 もう一歩話を進めて、パッシブ運用について更に考えてみよう。そもそも、運用コストを下げることが本当に投資家のメリットになるのだろうか?
 これは2つの点で考えるべきである。一つ目は、高い運用コスト=高いリターンかどうか。二つ目は、運用コストの多寡が投資結果に影響をどう与えるのか。
 まず一点目は既に述べた通りである。ほとんどのアクティブ運用の成績に継続性・一貫性は見られないというのが米国の研究で確認されている。また、運用報酬が高いことで知られる大多数のヘッジファンドも、報酬等を控除した後の成績はパッとしないということが分かっている。(特にリーマン・ショック後はレバレッジをかけられないので、パフォーマンスが低下していると言われている。)更に本質的問題は、真に優秀なアクティブ運用ファンドがあったとしても、それを購入できるとは限らないということである。つまり、いくらアメリカに良い運用者がいたとしても、日本人がそれに投資可能でなければ絵に描いた餅でしかない。仮に日本に優秀な運用者がいても、自分の取引する銀行や証券でそのファンドを売っていなければ同じである。
 2点目は、運用コストの多寡は確実に投資結果に影響する。これは間違いない。仮にアクティブ運用ファンドの運用報酬が1.5%、パッシブ運用ファンドの運用報酬が0.5%としよう。その違いは1%である。我々個人投資家の投資金額がせいぜい100万円だとすれば、その違いは1万円に過ぎない。そこで我々多くの個人投資家は、運用報酬の違いは、あまり投資結果に影響を与えないと想像してしまう。
 では、この2つのファンドの運用資産額が1,000億円だとすればどうだろう。1%の違いとは10億円の違いである。アクティブ運用ファンドがパッシブと同じ成績を上げようとすれば、毎年必ず10億円の追加的成功を収めなければならない。毎年10億円勝って初めてパッシブ並みになれるのである。個人個人で考えると毎年1万円の違いなど大したことではないようだが、投資信託は集合投資なので、実は1%というのは非常に大きな違いなのである。その違いはパフォーマンスの足を引っ張ることになる。これが長期投資においては物を言う。圧倒的に物を言うのである。先ほどの例通り、運用報酬が1.5%と0.5%のファンドで、当初1,000億円の運用資産額とした場合、毎年1%の違いがどれだけの差を生むのかを下の表に示している。
 

年後 アクティブ(1.5%) パッシブ(0.5%)
0 100,000,000,000 100,000,000,000 0
1 98,500,000,000 99,500,000,000 -1,000,000,000
2 97,022,500,000 99,002,500,000 -1,980,000,000
3 95,567,162,500 98,507,487,500 -2,940,325,000
4 94,133,655,063 98,014,950,063 -3,881,295,000
5 92,721,650,237 97,524,875,312 -4,803,225,076
6 91,330,825,483 97,037,250,936 -5,706,425,453
7 89,960,863,101 96,552,064,681 -6,591,201,580
8 88,611,450,154 96,069,304,358 -7,457,854,203
9 87,282,278,402 95,588,957,836 -8,306,679,434
10 85,973,044,226 95,111,013,047 -9,137,968,821

 
 パッシブ運用ファンドに比較すると、アクティブは5年目で48億円、10年目では90億円以上も資産が減っている。運用コストの1%の差が、長期的運用では確実に資産額を減らすのである。これでアクティブ運用の成績が振るわなければ、目も当てられない結果になるのは言うまでもない。
(3)複利効果
 資産運用で最も重要で、かつ最も理解しにくいのが「複利」という概念である。筆者は、複利というのは人間の直観ではまず理解できないと考えている。これを単純な例で考えてみよう。毎月±3%を繰り返す場合と、毎月±5%を繰り返す場合では、どちらが有利だろうか?直観的には、どちらも「行って来い」なので同じではないかと感じられるのではないだろうか?これを実際に計算したのが下のグラフである。当初元本を10,000円とし、毎月±3%と±5%を繰り返してみた。

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