[サラワク訪問記]日本に直結した経済発展と環境問題

 サラワク州は赤道直下に近い緯度01度33分に位置する。シンガポール(1°22′)とほぼ同じ緯度である。両者の距離も約1,000㎞(東京と福岡か)。筆者の予想では、サラワク州は今後の経済発展に伴い、1人当たりGDPはやがて2万ドルを超え、3万㌦も視野に入ってこよう(2010年現在、10,344㌦)。シンガポールを追う。しかし、シンガポールは製造業とサービス業のHuman capital型産業構造、サラワク州は資源輸出立国。10年後、20年後、シンガポールとサラワクはどのような違いを持った国になるであろうか。強い興味がある。

◇サラワク州の森林資源の変容
 森の中のオラウータンを初めて見た。セメンゴ野生動物センターは野生に戻すための保護区であるが、現在、24頭生息している。自分で餌を見つけているときは餌付け場所にやってこないが、その日はボスが姿を現した。食事の後、ユックリユックリと森の奥に消えて行った(感動的な光景であった)。しかし、この保護区は面積650haで、その外側は開発地である。ここは制御された自然である。
 
 ボルネオ島/マレーシアは生物多様性の宝庫で、世界のメガダイバシティー国の一つと言われている。しかし、丸太輸出のための商業伐採、アブラヤシのプランテーション開発などによって、森林は減少した。半島マレーシアは1966年の780万haから1984年には650万haに減少、現在は590万haである。サバ州は1966年の600万haから1991には420万haに減少した。
 
 マレーシアが世界の木材貿易の中心的な役割を果たすようになったのは1960年代以降である。マレーシア政府は外貨獲得のため丸太輸出を増大させ、丸太輸出は1971年の1800万m³から1990年には4000万m³に増加した。一方、日本の南洋材丸太輸入の推移をみると、1960年代はフィリピンから、1970年代はインドネシア、次いでサバ州、1980年代はサバ州、80年代末から90年代はサラワク州からの丸太が独占的であった。サバ・サラワク州の森林減少は日本向けの木材輸出と関わりがあることが示唆される。

表4 マレーシアの森林状況

 
 表4は、現在の森林状況である。マレー半島の森林率は45%と低い。アブラヤシ植栽面積も国土の約20%を占める。これに対し、サラワク州の森林率は74%と高い。アブラヤシ植栽面積も10%未満である。また、アブラヤシ農園は20年間くらい採集すると生産性が低下するので、放置されるケースがあるが(日本の耕作放棄地と同じ状況か)、サラワク州はマレーシアの中でもアブラヤシを栽培し始めたのが一番遅い州であるため放置面積は少ない(本格的な栽培は1990年代以降)。サラワク州は、マレー半島やサバ州に比べると、相対的に環境破壊は少ないと言えよう。
 
 先に、日本への木材輸出が森林減少に結びついたと述べたが、表5は最近の木材輸出の動きである。サラワク州の木材・同製品の輸出の3割~4割は今日でも日本向けである。丸太輸出は規制されているので、全輸出額の半分が合板であり、また日本向けの8割は合板である。

表5 木材・同製品の輸出額

 1970年代、サラワク州の経済発展が加速したのは日本向け木材輸出が一つの要因であった。近年、輸出額第1位の天然ガスの主な仕向地は日本。サラワク州の経済発展と環境問題は、日本と直結している。今後、鉱物資源の開発で経済成長が続くが、環境負荷は大きい。進出企業は環境技術を高めCSRに努め、環境負荷の上昇を最大限削減努力することが望まれる。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 外為・海外市場・先物> [サラワク訪問記]日本に直結した経済発展と環境問題