[サラワク訪問記]日本に直結した経済発展と環境問題

◇日本との相互依存関係-熱帯雨林の最大の輸出国
 日本への丸太輸出が急激な経済発展をつくったと先述したが、サラワク州は日本と貿易を通じて強いつながりがある。日本は輸出相手国として第1位で、総輸出額の約4割を占めている。

 輸出品目第1位の液化天然ガスの大半は日本向けである。日本の天然ガス輸入の2割はサラワク州産である。また、世界有数の熱帯雨林を持っているが、木材輸出も半分は日本向けである(日本は世界第1位の熱帯木材輸入国である)。一方、日本からの輸入は部品が多い。

 サラワク州は天然資源が豊富であるが、開発は始まったばかりである。近年、豊富な天然資源の存在が、直接投資を呼び込んでいる。安価で豊富な水力発電を利用する電力多消費型産業、例えば太陽電池用多結晶シリコン(トクヤマ、投資額1,000億円)、アルミ精錬、合板製造などの投資がみられる。

「サラワクは世界で最も金属精錬に適した土地」という評価があるようだ。水力発電の潜在能力は8万MWと言われており(年間平均降雨量は3300~4600mm、日本1700mm)、電力多消費型の製造業は比較優位を有すると言えよう。日本との経済関係は今後一層深まるのではないか。

2、サラワク州の天然資源と経済発展

◇サラワク州の産業構造‐資源輸出立国‐
 サラワク州は1次産業の国である。農林水産業と鉱業がGDPの34%を占める。一方、製造業は26%である。サービス産業もまだ未発達である(表1参照)。
主要な輸出品を見ても、1次産品が並ぶ。液化天然ガスの輸出が輸出額の半分を占める。次いで、原油、パームオイル、木材とつづく。製造業の輸出は全体の11%に過ぎない(表2参照)。典型的な“資源輸出立国”である。

 しかし、製造業の可能性は大きいのではないか。比較生産性は、農業0.6、サービス0.8に対し、鉱業17.9、製造業2.3と高い。しかも、近年、海外からの直接投資は製造業分野でも増えている。“資源加工型の製造業”の発展になるのではないか。労働力資源が少ないので(労働力人口は110万人)、労働集約型の産業立地は有利性がない(もっとも、インドネシアやフィリピンからの出稼ぎ労働力は期待できる)。
 ちなみに、製造業の比重は上昇してきている。GDPに占める割合は、1980年7.7%、87年8.6%、95年19.2%、2004年21.7%、10年26.4%である。徐々に高まってきている。

 表3に示すように、資源が豊富だ。石油・天然ガス、石炭・硅砂・鉄鉱などの鉱物資源、水力、森林などだ。森林を除くと、これらの資源は開発が始まったばかりである。今後、鉱業と資源加工型の製造業が成長産業になろう。実際、海外からの直接投資もここに集中している。ここでの問題は、20世紀型経済至上主義を回避し、経済と環境の両立のため、どのような方策がとられるかだ。日系企業の環境技術が期待される。

 なお、ボルネオ島の一角を占めるサラワク州は、溢れるような巨大な自然を持っている。自然を堪能する観光を楽しめる。シンガポールとは違った観光産業の発展も期待できる。

表1 サラワク州の産業構造
表2 主要な輸出品(2010年)
表3 サラワク州の天然資源賦存量
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