何故アベノミクスは成功する可能性が高いのか

図表6

図表7

図表8

日本と好対照の米国

図表9に1995年以降の米国のセクター別雇用数推移を示す。過去15年間米国では、労働生産性(物的生産性)が大きく上昇し、所得創造=経済成長をけん引した製造業、情報産業で雇用が大きく減少した一方、労働生産性(物的生産性)が余り上昇したとは思われない教育医療、娯楽、サービス等の産業群で雇用が大きく増加した。所得が製造業・情報産業からサービス産業に向けて移転し、サービス産業では雇用増加を可能にする所得が確保され続けたのである。その所得移転の主たる経路は、サービス価格インフレであった。

* 中国などからの低コスト輸入品デフレ、ハイテク製品や通信費など技術革新デフレは世界共通。

図表9

デフレによるリスクマネーの消滅

デフレはまた究極の貨幣偏愛をもたらし、金融市場がリスクキャピタル提供の場として機能することを阻害した。20年間のデフレと株価、地価など資産価格の下落により、cash is king メンタリティーが定着した。その結果、極端なリスク回避がおき、リスク資産に全く資金が配分されなくなっている。株式益回りは7~8%と社債利回り1%の7~8倍もあるのに、資本が向かわない。いわば資本は現金として死蔵され、金利裁定は停止した。

このように見てくると、ハイエクが言うように、デフレの定着(=相対価格の歪み)が、セクター間の資源配分を完全に停止させ、経済を困難に陥れたのである。この状態を「デフレ下の安定」(中前忠氏「日本経済は市場の日本売りにやられる」週刊エコノミスト2013年2月19日号)、等と美化する人々がいるが、それは事態の深刻さを見誤っている。デフレによる市場機構の麻痺は経済にとって死にいたる病である。一見安定して見えているのは、グローバル経済の成長と財政による需要補てんという、特殊なミルク補給があったからにすぎない。

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