アベノミクスを成功させる米国事情

アベノミクス成否のカギを握る米国事情

今回こそは円高デフレ脱却に成功すると思われるのは、経済実態と地政学的理由の二要因により米国がそれを後押しすると考えられるからである。第一に、米国経済がいよいよ本格回復へと向かい、ドル相場が上昇トレドに入りつつある。懸念された財政の崖は棚上げ、先送りされ、焦点は①住宅需要の改善、価格の反転、②株高・住宅価格高による資産効果、③雇用増加(特にサービス産業)、④引き続き好調の企業収益(進展する新産業革命とグローバリゼーションのもとでの生産性の上昇が要因)、に移ってきた。

特に住宅の改善は大きい。住宅投資/GDP比率はリーマンショック以降6%から2%台まで低下し、ピーク比440万人の雇用の減少のうち5割の220万人が住宅・建設産業によるものであった。このガンであった住宅が正常化するだけでGDPは2~3%上乗せされる。住宅価格が上昇に転じ、低金利継続下で持家投資ブームが起きるだろう。住宅需給悪化の根本要因は2006年69%まで高まった持家比率が65%へと急低下したことにあったが、それが反転すれば需給は急激に改善する可能性がある。

シェールガス革命によるインフレ抑制、貿易赤字の縮小が見込まれることもプラス。2013年後半GDP成長率は4~5%を越えていく可能性もあるのではないか。雇用も2012年11、12月のデータが上方修正され、堅調。ISM受注指数など生産活動も着実に改善しつつある。2012年第4四半期のGDPはマイナス成長(-0.1%)となったが、それは一時的と考えられる。セクター別GDP寄与度は消費+1.5%、投資(設備+住宅)+1.2%であり、民需最終需要は3%成長ペースと好調である。ゼロ成長となったのは①国防支出減(寄与度-1.3%)、②在庫投資減(寄与度-1.3%)、③純輸出減(寄与度-0.3%)という一過性要因による。それは今後の成長率の反動増をもたらすことになろう。

注目されるFRBの声明の強気転換

そうなると米国で出口政策が視野に入る。先週のFOMCの声明変化が注目される。2012年12月の声明「十分な政策支援なしには雇用創造に十分な成長は困難」から、今回2013年1月は「適切な政策の下、まずまずの成長と失業率低下が続く」と大きくトーンが変わった。

景気回復とFRBによる国債購入の減少が起こればバブルと言われるほど低下してきた米国金利の急上昇は必至、それはドル高をもたらす。他方日本では、安倍首相と新規に登場するリフレ派の日銀総裁のリーダーシップにより遅れていた量的緩和が進行する。こうしてここ半年ぐらいの間に起きるであろう日米好対照の金融情勢は、円安ドル高を定着させる最も基本的な条件となる。

第二に、米中新冷戦と言う地政学的要因により、日本経済の立て直しを通して日米同盟を強化することが米国の喫緊の課題になっている。つまり日本経済を傷めている円高デフレの解消を支援することが米国の国益にかなってきたという事情がある。安倍氏の日米同盟強化という安全保障上の主張は、円安遂行にとっても決定的であったと言える。

米国新首脳ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官のスタンスはいまだ不明だが、アジアにおける中国のカウンターバランスとしての日本重視は不変であろう。中国を抑制し自己変革の圧力をかけ続けるためには、その隣国の日本のプレゼンスの高まりがバランス上求められることである。長期経済停滞により日本人が資本主義や市場経済に対する信頼を失い、漂流し始めれば、東アジアは大きく不安定化する。ここは日本経済の浮上が、覇権国米国にとっても緊要となってくる場面である。リチャード・アーミテージ元米国国務副長官やジョセフ・ナイハーバード大教授などの米戦略論のオピニオンリーダーは、日本のプレゼンスの低下、二級国への陥落を真剣に危惧している。それは(過去の異常な高競争力国日本に対する)ペナルティーとしての、極端な円高是正を容認する要因ともなる。
市場はアベノミクス遂行に自信を強めている。日本の株高はまだまだ続くであろう。

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