間近に迫る政策転換~日本に定着した「反成長主義」の一掃を~

(2) 異常な日本の賃金下落を容認するのか

蔓延する非合理性、「反成長主義」

世界の要請とは裏腹に、日本ではもはや豊かになることではなく、分かち合うことを考えるべき、という反成長論が論壇を支配している。例えば、民主党の枝野経済産業大臣の主張などはその典型であろう。氏は近著で「明治以来の日本が歩んできた近代化のプロセスはもはや限界である。財政危機を、格差拡大を、原発事故を見よ。いま『成長幻想』を捨て『負の分配』を覚悟し、『脱近代化』社会を作っていかなければならない」(10月14日朝日新聞による紹介)と主張している。現役閣僚のこの主張は、民主党政権が経済成長を軽視し、場合によっては成長を罪悪視するという、世界の常識からかけ離れた思想的バイアスを強く持っていることを物語っている。それは先進国、新興国を問わず、日本を除くすべての国が成長による経済の富の創造を最も重要な国家目標としている中で、極めて異質である。表面的には赤字体質の是正に焦点が当たっているように見えるユーロ諸国の政策も、本旨はギリシャ、スペインなどの南欧諸国が生活水準維持を可能にするために、生産性の向上を図るところにある。

日本ではジャーナリズム、評論家等のオピニオンリーダー、学者や官僚、政治家に至るまで、「反成長主義」に毒されている。枝野氏に見られる議論、「果実を分配するためには成果を増やさなければならないのに、分配だけでよしとする議論」は、「55年体制」の無責任な社会党の体質そのものである。それは豊かになるために必要な経済努力を放棄させ、諦観を植え付け、経済の外に「青い鳥」がいるかのような、思想を定着させる。経済的に豊かになる努力や目標を放棄すれば、可能であるはずの成果が得られないのは当然である。「失われた10年」を「失われた20年」に引き伸ばした最大の原因は、そうした諦観の思想なのではないか。

日本の格差はデフレが原因

成長を敵視・軽視し、デフレを容認する人々は、図表3に示される、日本だけに訪れた長期賃金下落は不可避であり受け入れるべきもの、と言うのだろうか。回避すべく努力する余地はないのだろうか。否、日本の格差は貧しきものの更なる賃金下落によってもたらされた。相対的に賃金水準が低い非製造業の賃金下落が大きいことからもそれは明瞭である。他方、米欧や中国、アジアでの格差は、豊かな者の更なる所得増によってもたらされた。欧米の格差拡大の原因が行き過ぎたレバレッジとバブル形成にあったという側面はあるだろう。しかし、所得格差の事情は日本では全く異なっているのである。日本の格差はデフレ、成長の停止によってもたらされたわけで、それを金融資本主義や、バブル、過度の成長等に帰するのは白を黒と言いつのるこじつけとしか言いようがない。デフレ脱却と成長力の回復こそが日本の格差を縮小する経路であろう。

図表3

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