米国過剰消費と中国の過剰投資、どちらが問題か ~ 世界的消費力創出が課題 ~

(2) 中国過剰投資体質の禍根

他方中国では、世界に類例のない高投資経済が展開されている。先ず過去10年間の経済成長における投資と輸出寄与度は6割と維持不能の高水準にある。また固定資本形成/GDP比率は2011年46%とかつてどこの国にもなかった高水準に達し、投資が消費を上回る状態が2005年以降加速しているがこれも持続可能とは思われない。かつての日本や韓国がそうであったように、投資・輸出主導経済へ資源を動員することによって成長率(=供給力)を一時的に高めることはできる。しかしそれは逆に持続的な需要拡大と国民生活向上への軟着陸を困難にする。

先にふれたように経済計算や会計においては投資とは、費用処理の繰り延べが認められている支出に過ぎない。投資に於いて確かなことは、将来確実に費用が発生することであり、それに果実が伴うかどうかは不確かなこと、故に投資の見込み違いが危機を招く。高投資とは償却負担の増加、資本係数の上昇、(=設備投資効率の悪化)に帰結し、それが期待通りに稼働しキャッシュフローを生まなければ不良債権蓄積の可能性が高まる。たとえば10年足らずで日本の新幹線網の5倍の高速鉄道を敷設するという高投資は、その後の低稼働率、安全への疑義によって不良資産化する懸念が強まっている。

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こうした転換期における望ましい政策は、所得分配を急旋回させ、消費力を飛躍的に向上させることである。労働分配率の引き上げや農村やサービス部門に所得を配分し所得格差を是正しなければならない。つまり生産性の高いセクターから農村部やサービス部門等低生産性セクターへの所得移転が、行われなければならないが、それの主たるチャンネルは農産物とサービス価格のインフレ(生産性上昇率格差インフレ)である。日本で生産性上昇率格差インフレが起こり所得格差の是正と内需の急拡大が始まった(ルイスの転換点)のは1960年である。1960年以降農村の余剰労働力が枯渇し、労働需給がタイト化し(有効求人倍率が1を越え)、賃金上昇率が2ケタへと高まり、以降5%を超える消費者物価上昇率が定着し、労働分配率が大きく高まり、所得格差が急速に是正され、内需の急速な拡大、消費主導の経済成長が実現した。

それに対して今の中国では、そうした変化が未だ起きない。上昇しかかった消費者物価は再び2%台まで下落、所得分配の是正、所得格差縮小は全く進展せず、消費力の創造がなされていない、つまりルイスの転換点を経過できていない。それなのに中国政府は2011年以降の急激な経済成長の鈍化に対応して、更に投資増加によって成長率をかさ上げしようとしている。凍結されていた高速鉄道建設の再開、過剰設備渦中の製鉄所着工、不動産融資の緩和などであるが、それは過剰投資の上に過剰投資を重ねる愚を犯す可能性が強い。中国の今後の調整困難さが懸念される。

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