新たな発展段階入りが見えてきた米国経済 ~ 世界随一の米国経済の中長期展開力 ~

進化する中央銀行

現在、中央銀行のあり方が変わりつつあるように思える。中央銀行における通貨発行の裏付けが変化しつつある。中央銀行のバランスシートは、金本位制では通貨と金、管理通貨制では通貨と国債をバランスさせてきた。しかしながら、ギリシャ危機に見られるように、国債保有に関して疑問が持たれるようになってきている。FRBのバランスシートを見ると、リーマンショック前の資産は、ほとんどが国債であった。リーマンショック以後は、モーゲージ債など市場性証券を多額に組み入れている(図表29)。これは、中央銀行における歴史的変化ともいえるのではないか。

金から国債へ、国債から市場性証券へ、という資産保有の変化は注目に値する。今は危機対応の対症療法で一時的なものに見えていても、それが定着するという可能性もある。金本位制が廃棄された時も、単に目先の安定を得るためだけの一時的対症療法と考えられていた。当時、金の替わりに何の裏づけもない国債を基に通貨を発行する中央銀行制度が長く続くはずはない、いずれ金本位制に戻ると誰もが考えていたはずである。ニクソンショックによるペーパードル本位制も、当時はやはりその場しのぎの対症療法と考えられていた。しかし今になって振り返ると、どちらも新たな通貨制度の始まりであった。今回の変化も同様のものなのかもしれない。

これまでの通貨制度も、誰かが理念的に計画して開発した制度ではなく、市場の必要性に応じて変えられてきたものである。金本位制は、誰もが金に価値があると信じている共同幻想で成り立っていた。国債もまた、徴税権を持つ政府が必ず返済してくれるという信用が裏づけとなっているのであるが、これが揺らぎ始めている。それでは市場性証券の裏づけは、一体、何であろうか。これは、中央銀行の資産の中に、初めて登場した経済的価値であるといえよう。市場性証券は、将来、明確に予想できるキャッシュフローの現在価値である。金や国債よりも確かな裏づけを持っているとさえ言えるかもしれない。このように、市場性証券を裏づけとした通貨発行のメカニズムが、現在、起こり始めているように思えるが、果たして、新しい変化なのか、それとも一時的なものなのかはわからない。しかしながら、新たな通貨メカニズムの導入により、新たな需要創造が必要であることは確かである。需要が急速な生産性の高まりと世界的な供給力の増加に追いついていかなければ、供給過剰で大不況に陥る可能性も高くなってしまう。このように考えるとアメリカは、次世代に繋がる経済政策をとりはじめたのかもしれない。既に、技術力における環境は整いつつあり、通貨メカニズムによる需要創造という条件が整えば、NYダウが100,000ドルを目指す株式市場となる可能性も出てくるといえる。

金価格は通貨制度の転換点で上昇する

過去3回の長期株価停滞から10倍の長期上昇トレンドに入ったときに、金価格の上昇が起こったことにも注目しておきたい。1934年に米国が金本位制を離脱した時、1オンス20ドルだった金は34ドルに上昇、1980年には、前年から4倍ほど上昇して800ドルを超えた。そして、今回も、金価格が高騰している。米国のベースマネー残高の名目GDP比が上昇した時に、金価格も上昇するという相関は明瞭である(図表30)。もっとも、1980年の金上昇時のベースマネーは低いままであったが、この時は、実質負債額が急増しマネーの供給が非常に増えた時でもあった(図表31)。いずれの金価格上昇も新たな通貨制度の勃興とともに起こっている事に留意したい。

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