新たな発展段階入りが見えてきた米国経済 ~ 世界随一の米国経済の中長期展開力 ~

第一章 米国の強み、長期潜在力の決定要因

米国に対する悲観論は、過去何度も繰り返されてきたが、現実のものとなったことはない。1993年、米国経済は立ち直るという趣旨で「アメリカ 蘇生する資本主義」(東洋経済新報社)という本を出版したが、当時は、悲観論が大勢を占めていた。その時も、米国は、想定以上に力強く復活した。筆者は、日本人は米国に対して悲観的に見る傾向があると考えるが、これは、日本の将来やビジネスを危うくする議論であると思う。以下では、その根拠となる議論やデータについて延べることにする。

主要国で唯一労働人口の中長期増加国

これまでのように、軍事や政治面だけでなく、アメリカを中心とする世界経済の一体化は、まだ途上にあると考えられる。先ず米国の中長期展開力を支えると見られるいくつか代表的事例を紹介したい。第一は、図表1に見る人口動態である。国連は、世界の労働人口(15歳から65歳まで)の推移について、中国、欧州、韓国、日本において2010年から2015年をピークに低下していくと予測している。現在、一定の工業水準に達している国で、長期にわたり労働人口が増加すると予測されているのは、米国だけである。

また、シェールガス革命により米国の天然ガス価格が著しく下落、エネルギーコストの低下により、経済成長率が中期的に高まる局面にあると考えられる。石油輸入額の名目GDPに対する比率を見ると、日米共に1990年代は1%程度で推移していたが、2008年には、米国が3%強、日本は4%弱にまで上昇している。2011年は、日本が2.9%、米国が2.2%であった(図表2)。この米国の輸入エネルギー依存度が、再び1%、あるいはそれ以下に低下していくことも考えられ、米国は、新たなエネルギー革命の恩恵を大きく受けると予想される。

最も効率的労働市場と活発な創造的破壊

3つ目の事例として、中長期的な観点から見ると、米国は世界で最も効率的な労働市場であることがあげられる。図表3は、失業率と成長率の関係いわゆる、オークンの法則をグラフ化し、主要国の傾向を比較したものである。経済成長率と失業率には強い相関があることがわかっているが、図表3では、米国の労働市場が最も弾力的であることが看取される。景気が少しでも悪くなると直ぐにレイオフが行われるためであるが、それができない日本の労働市場は、最も硬直的となっている。労働の効率性は、市場経済における重要な均衡回復のエネルギーとなる。米国は、最も創造的破壊が迅速に行われる国であるといえる。その結果としての4つ目の事例は、依然として米国産業の新陳代謝は高く、常に、ニューカマーが生まれてきていることが挙げられる。図表4によってリーディングIT企業(ユニシス、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、アップル)の株価推移を見ると、トップが常に入れ替わっていることがわかる。30年から40年前のハイテク産業では、大型コンピュータのIBMやユニシスが代表的企業であった。その後は、インテルやマイクロソフトといったパソコンの時代になり、グーグル、アップル、そして上場を控えているフェースブックの時代へと移り変わってきた。いずれも10年も経たない内にIT産業における主導企業が変わっており、トップを走るのは、生まれたばかりの若い企業であることが多い。若い世代が経済をリードする勢いを持ち続けているのが米国だけである。世界最大の軍事大国、覇権大国であると同時に、経済超大国国としても依然として抜きん出た存在であるとことは間違いない。

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