欧米の取締役会の実効性~建設的対話とアクティビストのインパクト

・欧米企業の取締役会はどのように運営されているのだろうか。取締役会の実効性について、投資家はいかにエンゲージメント(対話)をしているのだろうか。6月に一橋大学院の田村俊夫教授、8月にラッセル・レイノズ・アソシエイツのジャック・ラスティオケリー氏(マネージングダイレクター)の話を聴いた。参考になる点をいくつか取り上げてみたい。

・田村教授は、誰と話すかについて、①執行担当のマネジメントと、②独立社外取締役に分けている。昨今は、社外取締役と機関投資家の対話も増えようとしている。何を話すかでは、①ガバナンスについて(G)、②経営戦略について、③環境・社会(ES)について、と分けている。端的に言えば、経営戦略とESGに注目している。

・アクティブ運用中心のTロウプライスでは、1)多数の企業と簡潔な対話を行うライトエンゲージメントと、2)少数の企業に深く立ち入って長めの対話を行うヘビーエンゲージメントに分けて対応している。

・パッシブ運用中心のブラックロックでは、毎年1.5万社に議決権行使を行うが、そのうち1割の約1500社と対話を行っている。特に、長期投資家として、企業の長期的な価値創造と取締役会のリーダーシップを重視している。

・また、マネジメントの後継者選任、敵対的買収の提案、アクティビスト・ファンドの要求などについて、執行サイドのマネジメントの対応が不十分な場合に、社外取締役との対話を求める。通常は筆頭独立取締役や各委員会の委員長である取締役とミーティングを行う。

・公的年金のカルスターズ(カリフォルニア州教職員退職年金基金)では、企業の経営判断がESGにどう影響するのか。その理解を深めるために対話を行う。

・いずれにおいても対話の内容として、1)取締役会が、個人としてもグループとしても、長期的成長を推進できる専門性を明確に備えているか、2)CEOの報酬は業績の実態、株価パフォーマンスと乖離した高額なものになっていないか、3)長期成長戦略のフレームワークを開示しているか、4)M&Aや資本配分について、執行マネジメントと取締役会が密接に協力しているか、つまり監督と助言が効いているか、5)E&S(環境と社会)について、経済的視点もふまえて、長期的な価値創造に組み込んでいるか、などを重視する。

・独立社外取締役と投資家との対話は、欧米でも一般的ではない。英国の方が、米国よりも積極的であるが、そのあり方についてはよく考えておく必要がある。社外取締役は株主の代表でもあるわけだから、投資家や株主と話すのは当然である。

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