相場転換、バスに乗り遅れるな

(3) もはや日本株、買わない理由見当たらない。警戒の反動で踏み上げ相場の公算も

●トランプ政権の進化・・・一旦諦めた経済政策課題が進展へ

 市場の過度の悲観が修正を余儀なくされつつある。第一にトランプ政権の政策進化がいよいよはっきりし、期待値ゼロとなったトランプ政権の政策においてポジティブサプライズが出始めている。民主党との協調により債務上限の期限延期を実現し、不法移民の子供の救済制度法案化に乗り出している。また一度は宣言したパリ協定離脱を撤回する意向を示しはじめた。さらに超党派により税制改革やインフラ投資に関しても協議している模様である。そもそも大きな政府、ケインズ政策の傾向が強いトランプ氏の政策アジェンダは、民主党との親和性がある。来年の中間選挙を展望し、スタックしていた政策論議が進展する公算は強いと思われる。そうなると共和党も政策実現のために大統領と協調せざるを得なくなる。それはドル高株高要因である。

●ますます強まる景気実勢

 世界同時景気拡大にいよいよ弾みがつき始めた。図表5に見るように世界貿易数量、コンテナ取扱量が大きく増加している。中国での需要増加の貢献が大きいが、米国経済も力強さが増している。堅調な消費・住宅に加えて、設備投資の増勢が強まっている。図表6に見る非国防資本財、非輸送用耐久財の好調さは、投資意欲の高まりと評価される。好調な企業利益とひっ迫する雇用環境、採用難は企業を設備投資へと駆り立てていく。企業経営者の先行き楽観度の高まりが、それを促進しよう。懸念された物価上昇も8月コアCPIが前月比0.25%(年率1.7%)と大きくリバウンドし、デフレ懸念を払しょく、利上げ期待を喚起し金利上昇とドル高をもたらしている。

 日本の景況も好調、2017年第2四半期GDPが速報値の4%から下方修正されたとはいえ2.5%と好調、名目GDPは2.8%と2020年600兆円の政府ターゲットも軌道上にある。企業業績は世界経済の好調さと、円高一巡、さらに上方修正含み。懸念の物価も2%は困難ながら、労働需給ひっ迫による賃金上昇圧力の高まりによって1%程度に向けて上昇していくというものが、エコノミストのコンセンサスになっている。
 
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●米国リセッション地平上に見えず

 図表8に見るように戦後の全ての米国リセッションはインフレの心配から過度の利上げが起きたことでもたらされた。つまりインフレ懸念の高まり?過度の引き締め?逆イールドカーブ(長短金利逆転)?リセッション、戦後の因果関連であり、それには例外はないのである。逆イールドカーブに陥るような引き締めの必要がない以上リセッション懸念は地平上には表れていないのである。またFRBは短期金利に対する裁量のみならず、テーパリング(バランスシートの裁量)により、長期金利にも大きく影響を及ぼすことができるようになっている。日銀のみならずFRBもイールドカーブをコントロールできるようになっている。この条件下で逆イールドカーブがもたらされる可能性は、近い将来考えにくくなっている。

 ということは、低インフレ低金利は景気をより長く持続さる好条件と言える。米国も日本も完全雇用、高収益、低インフレと過度の金融引き締め不要という、素晴らしい市場環境の下にある。

●米国株式割高でない

 株式バリュエーションの割高さ(過去平均PER15.5倍に対して現在21倍)も悲観論の根拠となっている。しかしPER水準のみが絶対的な株価割高、割安の基準になっているわけではない。1970年から2000年にかけて米国益回り(PERの逆数)は長期金利と完全に連動して推移していた。ということは妥当なPER水準は長期金利によってきめられていたということであり、現在の低長期金利の下では適正なPER水準は相当高くても正当化できるといえる。中央銀行がQE(量的金融緩和)により長期金利をコントロールしており、その下では長期金利が低いと言っても高PERを正当化することはできない、との反論はあり得よう。しかし、PERは経済的厚生の最も信頼できる指標ミゼリーインデックス(悲惨指数=失業率+インフレ率)とも強い逆相関性を持っている。1980年のミゼリーインデックスピーク時(1980年6月22%)に米国の株式PERは歴史的低水準(1980年4月6.96倍)を記録した。ミゼリーインデックスが歴史的低水準に低下している今日、PER水準が過去の平均から上方にかい離するのは当然と考えられる。

●日本株式投資に押し出される

 米国経済と株式バリュエーションに自信が戻ってくれば、日米金利差、金融政策の好対照はさらに強まりドル高、円安は不可避になる。そのうえで図表10に見る日本株式の極端な割負け、PER割安さを世界の投資家は無視できないだろう。まして一旦懸念された日本の政権求心力が、解散総選挙によって強まるとの想定が強まればなおさらであろう。
 
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