相場転換、バスに乗り遅れるな

(2) 不思議なこれまでの円高・日本株安、
元凶は日本人の過度の悲観なのでは

●円ショート積みあがる、新興国投資の調達通貨として

 2017年6-8月の国際資本移動のポイントはトランプポジションの巻き戻しと新興国投資及びユーロ高であった。トランプ財政政策への失望?米金利低下・ドル安?ユーロ及び高イールド新興国投資活発・中国・インド・オーストラリア・ブラジル通貨大幅高(軒並み5%値上がり)という連鎖が起こった。同時に新興国の株価も上昇した。しかし他方、円は新興国投資の調達通貨として大幅に売られた(キャリートレードに基づく円ショートボジションが積みあがった)。9月14日のWSJは円ショートポジションの大幅積み上がりと好対照に外国人による中国短期債券投資の急増を伝えている。
 
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●円ショートの積み上がりにもかかわらず、円高になった秘密

 ミステリーは相当の円ショートポジションが続いていたにもかかわらず(8月以降若干水準は低下しているが)、円高が進行したことである。それではグローバル投資家の円ショートポジションに向かって誰がドルを売ったのかといえば、それは日本の国内投資家、個人、機関投資家であろう。日本ではメディアのやや一面的な報道もありトランプ大統領がリードする米国に対する警戒心は強い。また北朝鮮の軍事挑発が続き、世界的リスクオフ環境が強まるとの観測で、日本人投資家は対外投資を圧縮してきたと推測される。9月14日の日経新聞は日本投資家の対外警戒を報じている。本来逆張りの日本のFX投資家(通称ミセスワタナベ)が、9月8日の円急騰前後にむしろドル投資ポジションを減らしていることを報じている。通常と異なり日本の為替投資家がドル高の持続性に疑問を持っている表れと日経新聞は解釈している。

 この不思議な円高の下で、日本株不振が進行した。過去日本株安は円高ドル安と連動するという相関がある。過去一年の株価上昇場面は2016年11-12月、2017年4-5月であったが、ともに円の下落、外人買い増加局面であった。したがって、円高場面で外国人投資家が過去の相関に従って日本株を売ったのである。

●根拠の乏しい安倍政権批判が外人売り誘う

 日経ビジネス9月18号では外国人投資家が安倍政権の安定性など日本経済に悲観して日本株を売り、日本株比率引き下げをし、それが日本株安をもたらしている、と報じている(「日本株リスク、北朝鮮だけじゃない」日経ビジネス9月18号)。

 しかし日本株低迷の火種は日本人なのではないか。メディアが中心になり森友、加計学園問題で安倍政権批判が強まった。また2%のインフレターゲットが困難ということをことさら強調して、アベノミクス失敗という論評が、キャンペーン的に展開された。さらに東京都議選で自民党が大敗し、政権レームダック化との見方が喧伝された。外国人はこの日本人発の政局不安に影響された可能性が大きいのではないか。

 日本人の内外投資環境に対する過度の悲観が円高と外国人投資家の日本株売りを誘発し、日本株式の劣悪なパフォーマンスをもたらした、と推測される。日本株売りの火種が日本人の不適切な悲観にあったとすると、それは急速に是正されるべき局面に到来している。1) 北朝鮮軍事挑発の日常化、市場の鈍感化、2) トランプ政権の進化、米国政策の進展が市場のポジティブサプライズに、3) 疑問の余地なき世界同時好況、4) 日本企業業績上方修正、安倍政権支持率上昇、解散総選挙による政権求心力の高まり、5) FRB、ECBの金融政策転換はネガティブ要因ではない、等が織り込まれ、世界的リスクテイクを推進するものとなろう。ドル高、日本株高がその中心になりそうである。
 
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