ESGの先を目指す~次はイノベーション

・企業サイドにおいて、1)社会的課題にソリューションを提供する、2)社会的価値にフォーカスして、社員が自立的に動かないと本物の企業価値創造はできない、3)ESGを軸にグローバル経営を進化させる、という気運が高まっている。

・投資家サイドでも、1)パッシブだけでなく、アクティブ運用においてもESGファクタ―を評価に取り入れる、2)グローバルにESG評価を行い、企業にレーティングをつけて、一定水準以上を投資対象のガバレッジとする、3)アナリストガバレッジの全銘柄にESGレーティングを付与して、既存の投資プロセスに組み込んでいく、というケースが増えている。

・ここで2つの課題があろう。1つは、投資判断におけるESG評価の重みをどのようにおくか。もう1つは、ESG優先の投資判断が何らかの偏りを生まないか。いずれも今の段階で計量的に分析できていないので、実証的な論評は難しい。

・ただし、経験則に基づき、次のような方策を検討すべきと考えている。企業レーティングを、①経営力(マネジメント能力)、②成長力(イノベーション力)、③持続力(ESG)、④業績のリスクマネジメント、という4つの軸に沿って3段階評価するというのが、これまで筆者がとってきた方式である。これはビジネスモデル(BM)の頑健さ(ロバストネス)を4つの視点でみたものである。

・ところが、企業価値創造に優れた企業においても、このBMの構築がまだ弱い。統合報告(Integrated Reporting)においても、既存のBM1を次のBM2にトランスフォームしていく時、1)BM2 の描き方と、2)その実現のための戦略、が今1つである場合が多い。

・そこで、企業評価のレーティング軸として、新しいBM作りの戦略のコネクティビティ(結び付き)の評価を第5の軸として導入したい。コネクティビティが弱いと戦略の実行性が不十分となり、新しいビジネスモデルが実現できないからである。

・企業評価に、⑤新しいBMと戦略のコネクティビリティ、を入れてみると、目標水準が一段と上がって、上位、中位の差がよりはっきり出てくる。

・5軸を3段階で評価するので、企業レーティングは5点(1+1+1+1+1点)から15点(3+3+3+3+3点)までばらつく。15~13点をA、12~8点をB、7~5点をCとする。

・そうすると4軸(4~12点)ではAクラスであった企業が、Bクラスになってくるケースが出てくる。大企業でも中堅企業でも、Aで変わらない企業もある。ここで、何が差になってくるかというと、ESGの軸ではなく、イノベーション(成長力)の軸である。イノベーションを企業価値創造の新しいBMに結びつけるコネクティビティに、差が出てくるように感じられる。

・改めて企業のイノベーションの強さや、新しいBMと4つの軸のコネクティビティに注目したい。もしそこが十分できているなら、統合報告でより一層開示してほしい。そうでないならば、新しいBMの構築に向けた戦略をコネクティビティの観点から練ってほしい。例えば、エムスリーや東祥はAクラスとみているが、今一歩の企業も多いといえよう。

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

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