S&P 500月例レポート(2017年8月配信)

●7月のS&P500の動き

 7月も緩やかな上昇が続き、長期に及ぶ強気相場がさらに継続され、S&P500は最高値を5回更新しました。市場は相変わらずファンダメンタルズ(企業業績、住宅市場、金利)に注目し、ワシントンでのイベントには全く目もくれません。これは政治家の発言や現在の政治環境を市場が「織り込み済み」であることを示しています。目下、市場はワシントンでの動向に注視しているとはいえ、材料視はしていません。

 しかし、こうした状況は税制改革がスタートし、法案のメドが立ち始めれば、ただちに変化する可能性があります。現時点で市場は税制改革を織り込んでおらず、今後この面で進展が見られなくとも、相場への影響は軽微にとどまる見通しです。ただし、政策が具現化するようであれば、市場で急速な資産配分見直しの動きが生じ、実効税率の高い銘柄も低い銘柄も揃って買われることになるでしょう。とはいえ、現在実効税率の高い銘柄は減税によりさらなる業績向上が見込まれる一方、実効税率の低い銘柄は税負担が増加する恐れがあります。

 確実に分かっていることとして、7月の市場は広範囲にわたって上昇し、S&P500指数は最高値を5回更新しました。S&P500指数は7月に1.93%上昇し(配当込のトータル・リターンは2.06%)、年初来では10.34%の上昇(同11.59%)、過去1年間では13.65%(同16.04%)と好調な上昇を見せています。また、米大統領選挙(2016年11月8日)以降の上昇率は15.46%、配当込みのトータル・リターンは17.15%となっています。

●セクター

 7月の騰落率は11セクター全てがプラスとなり、6月の5セクターや5月の7セクターから増加しました。

 6月に2.98%下落した電気通信サービスセクターは7月に反発して5.07%上昇し、月間騰落率で最も高いセクターとなりました。AT&T(T)とVerizon(VZ)は決算発表を受けて株価が上昇しましたが、同セクターの年初来騰落率は依然として8.36%のマイナスです(AT&TとVerizonも年初来ではマイナス)。

 情報技術セクターは、利益予想が高かったにもかかわらず大半の企業が予想を上回ったことで4.27%上昇しました。同セクターでは上昇分のほとんどを大型株が占め、大型株の比重が一段と高まっていることが懸念されていますが、7月に関しては68銘柄中55銘柄が上昇し、平均上昇率は3.74%でした。加重平均による上昇率は下回りますが、それでも十分に高い成績です。年初来の上昇率は21.34%と(55銘柄が上昇し、平均19.22%上昇)、依然として最高のパフォーマンスを維持しています。

 エネルギーセクターは、原油価格が1バレル50ドル台を回復したことで(ただし、2016年末の54ドルには未達)7月に2.44%上昇しましたが、年初来では11.71%の下落と、最低のパフォーマンスが続いています。

 ヘルスケアセクターは0.67%上昇しました。医療保険制度改革法(オバマケア)についてはほぼ毎日のようにニュースで取り上げられており、最終的にオバマケアが修正されることはありませんでしたが、今後大統領令により補助金が見直されることになれば、業界を取り巻く状況は大きく変わると予想されます。結局のところウォール街では、種々雑多なイベントにもかかわらずヘルスケアセクターは上昇するとみているものの、セクターのボラティリティが高まる恐れがあります。同セクターの年初来の上昇率は15.84%と、依然として素晴らしいパフォーマンスを維持しています。

 金融セクターは6月に6.31%上昇して最も好調なセクターでしたが、7月は1.61%の上昇にとどまり、年初来の上昇率は7.67%となっています。もう一つの注目すべき展開として、消費関連セクターが7月にアンダーパフォームしました。一般消費財セクターは7月に1.76%上昇(年初来では12.17%上昇)、生活必需品セクターはわずか0.01%の上昇(同7.01%上昇)となり、月間で最低のパフォーマンスとなりました。

●銘柄変動

 銘柄の変動を見ると、7月も値上がり銘柄数が値下がり銘柄柄数を上回り、その差は拡大しました。7月の値上がり銘柄数は326銘柄(平均上昇率4.37%)と、6月の294銘柄(5月は283銘柄)から増加した一方、値下がり銘柄数は178銘柄(平均下落率3.87%)と、6月の211銘柄から減少しました。7月は10%以上上昇した銘柄は20銘柄(平均上昇率16.64%)と、6月の29銘柄から減少し、10%以上下落した銘柄も14銘柄(平均下落率12.45%)と、6月の15銘柄から減少しました。2銘柄(6月は1銘柄)が25%以上上昇した一方、25%以上下落した銘柄はありませんでした(6月もゼロ)。

 年初来では、引き続き値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回っており、その差は拡大しています。年初来での値上がりは361銘柄と、6月の349銘柄(5月は330銘柄)から増加し、254銘柄(6月は231銘柄)が10%以上、91銘柄(6月は71銘柄)が25%以上上昇した一方、年初来での値下がりは142銘柄(6月は155銘柄、5月は173銘柄)となり、66銘柄(6月は70銘柄)が10%以上、23銘柄(6月は24銘柄)が25%以上下落しています。

 企業の株価は業績に関するニュースに反応する動きを見せたものの、市場のボラティリティは低下しました。出来高は5月の前月比22%増、6月の同2%減の後、7月は同22%強増加しましたが、これは過去5年平均を15%下回っています。日中の高値と安値の差で見た変動率は3.17%に上昇し、6月の2.00%、5月の2.80%を上回りましたが、これは過去1年平均の3.30%を下回り、過去5年平均の5.12%と比べれば大幅に低い水準です。

 2016年11月8日の大統領選以降では、391銘柄が上昇した一方(6月は389銘柄)、113銘柄が下落し(6月は114銘柄)、11セクターのうち10セクターが上昇しています(金融セクターは25.44%上昇、情報技術セクターは22.61%上昇、エネルギーセクターは4.10%下落)。

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